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柴田たちは引き返した。そして、笑顔になる。自分達の前に、タコ焼き屋の千田がトラックに屋台の資材を積んで通った筈である。寺のある地域には、講がある。日本の頼母子講に似ているが、寺の檀家衆でもある。年に一度皆が集まり寺も交えた祭りが行われる。
日本の盆祭りに似て、縁日となる。毎年、千田も出店を出していた。三日三晩続く。
千田のトラックには、柴田たちが掘り出した遺物が段ボール箱に詰め替えられて、積み込まれた。
軍らしき輩が未だに検問を続けているのを見ると、千田たちは上手く、すり抜けたのだろう。
「祭りは明日ね」
「明日は、教授を訪ねよう」