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44 土曜日
柴田たち三人は、ヘルメットを被っている。入口の扉を開き、ミキが乗るミニユンボが進む。後に、柴田とサッコが続く。既に、100メートル以上は進んでいる。入口の埋め戻した跡を過ぎれば、トンネルが続く。柴田とサッコは、トンネルの壁面を診ながら適時山留めを施していた。
柴田は、壁面を注意深く視ている。トンネルに沿う所に何かしら、部屋があるはずだ。それも、出口から、そう離れてはいないはずである。柴田は、注意深く壁を視る。
調査は、三週目に入っていた。ミキは操作にもなれてきた。
「何か、引っ掛かるわ」
ミキが操作を止め、振り返った。
柴田は、スコップを壁に刺した。壁の土を、古墳を削る様に、薄く剥ぎ取る。10センチメートル程の、角材が現れた。それは、柴田の背を越え、横に這っている。柴田は、サッコを視る。サッコは角材の端を縦に削る。角材が現れた。
柴田とサッコは、その面を削る。木の扉が現れた。
柴田は、ミキに拳を振り上げ、パンチを示した。
ミキは頷き、ユンボのバケットを叩き込んだ。