40 陰
「あの人が、大学の先生だったとは知りませんでした。私が見ていたのは、週に二回程度です。先生には、何時も会いました。そして、何時も会う人がもう一人いました。何時も、跡地の広場に座り、日がな一日座っていました。皆さんが、あそこに工事に入ってからは、林の中から見ていました。私もおなじですが。師からは、とにかく見ていなさい。そして、知らせなさい、と言われていました」
ホーは、師を見た。
「その一人は、どういう動きをしていたのですか?」
柴田が聞く。
「何かを触ると言うこともないですが、訪れる人を写真に撮っていました。シバタさん、サッコさん、それに女の人もいましたよね」
サッコが柴田に目を合わせる。
「服装は?」
サッコが聞く。
「私たちと同じです」
「分かりました。要は、仏陀像を知る、若しくは狙う何かがいると言うわけですね」
「そうです」
師が言った。
サッコが携帯電話を耳にした。
「ミキが来た」
「早いね」
「どうなっているんだか知りたいんだと。とりあえずホテルを教えておいた」
柴田は笑っている。
「現況は分かりました。状況はホーさんに伝えましょう」
柴田は師に言って、ホーに顔を向けた。
「ホーさん、もし、その一人が現れたら、教えて下さい。私たちが現地にいた時だけで良いです」
柴田たちは師、老婆に礼を言い、ホテルに向かう。




