着信
帰国した柴田たちは、ベトナムでの傀儡事業の準備手続きを進めた。設計は、知り合いの建築事務所に、元図面が無いので、写真と現況図を渡して、基本設計、ベトナムでの許認可、詳細設計の現地調査も依頼する。
施工は、現地の業者を頼むつもりだが、柴田の会社の作業員も連れて行く。話を聞いて、社長も行く事になった。
サッコの会社が、発注し
、施工は会社の有閑期になる。
帰国して一ヶ月、ベトナムの千田から、繰り返しの着信があった。
「どうしました」
柴田が折り返した。
「あ、柴田さん。先生が」
千田には、暇をみて現場を見てくれる様、頼んであった。
「教授?」
「先生が襲われた。病院に入院した」
「いつ、容態は」
「今日、行ったら雑木林の中で倒れていた。頭を殴られた様で血も出ていた。意識は戻って、医者によれば頭蓋内の出血はないようだ」
「会話は?」
「まだ、眠ったまま」
「わかりました。二、三日中に行きます。悪いけれどできるだけついていて下さい、お願いします。あと、現地には行かないで」
「OK、俺か、母ちゃんが付くよ」
柴田は近くのサッコの会社に行く。
サッコがコーヒーを2つテーブルに置いた。
「今日、教授が襲われた。明後日にでもベトナムに行こう」
「えっ、教授は」
「昏倒したみたいだが、中の出血は、なかったようだ。今は、入院している」
「誰だろうね」
「そこが問題だね。物取り?それとも、地下道の兼ね合い。それなら、問題だね。はっきりしないと、設計屋も入れられない」
「行かなきゃならないね」
「そこで、サッコはミキと別便で行った方が良いと思う。ホテルは一緒でもチェックは別々、ロビーでも知らんぷりだ。病院には千田と俺が行く。英語で何とかなるだろう。そこで教授から、話を聴ければいいね。そこまで、回復していて欲しいね」




