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⑲再びホーチミン市

 十月末、柴田とサッコ、ミキは、ホーチミン空港へ降り立った。

「まだ、暑い」サッコが言うと、「まだはおかしい。いつも暑い、だろう」柴田が、笑って返す。 前回と同様、レンタカーを借りてホテルに向かった。


「サッコとミキさんは、明日、あの場所でデートしてくれないかな。様子を見ながら建物の中に入るのもいい。俺は、当分同道しないつもり。ただ、あの場に不似合いな人がいたら、すぐに戻った方がいい。デートの邪魔と言う感じでね」

 サッコとミキは眼をあわせて笑っている。柴田の意図はわかっている。

 もし、そこが監視されていれば、男二人、女一人の外国人が度々、訪れるのは、不自然である。男女がいい場所を見つけたと思われれば良い。

「柴田はどうする」

「当分、近寄らない。時々、対岸から眺めて、教授のくれた地図に照らして、見えない地下を想像するだけだ。日本から持ってきたベトナム戦争末期の地図もある。後で、二人にもコピーをやるよ。それと、それらは持ち歩かない方がいい。何かの拍子に身体検査があるかも知れないからね」

 サッコとミキが首肯く。

「地図から、見えるものはあるのかい」

 客がいなくなった頃を見計らいサッコが柴田に聞いた。

 サッコが柴田に聞いた。

「教授の地図は一次の枝分かれと若干の二次的な地下道が線で描かれている」

 柴田は一枚の地図をテーブルの上に拡げた。教授から送られた地図である。それには、地下道と思われる線が、描かれている。数本の実線から、分岐した破線があり、それは、すぐに途切れていた。実線には、距離がメモされて、最長で500メートル程、分岐には記載がない。ただ、幾つかの分岐には、方位を示すのだろう時計の読みが書かれていた。

「サッコ、何か感じるかい」

「方角がポイントかな」

「俺も、そう思う。そこでベトナム戦争時の地図と重ねてみた」

「何か、見えたのかい」

「何となくね」

 柴田は、トイレに立った。別に用をたした訳ではない。戻りながら周りを見る。柴田ら三人に眼を配る者はいない。

「教授の記した方角には、米軍の建物がある。その通路は、末期に南ベトナム軍が米軍の命令で掘ったものと思う。その頃には、南ベトナム解放戦線、ベトコンが新たに掘る必要はなくなっていた。その、地下道の中途に、見つけたい物、相手にすれば見つけられたくない物が有るのかなと思う」

「でも、地下道を闇雲には掘れないわ。私たちは、三人だけだし」

 ミキが言う。

「そうだね。特定しなければならないね。少なくとも、二三ヶ所には。それと教授の言う、邪魔者の動きも知らないといけない。とにかく、現地の状況を見て見る事だね」

「そう。まず、僕とミキがそこの様子を見る事なんだね」

「様子が分かれば、俺は、サモの家に行く」

 三人は、冷めた料理を食べる。

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