⑯教授からの手紙
「ちょっと、考えさせて」
柴田の言葉で三人は席をたった。
三人の別々の帰途についた。三様に思案をしていた。まず、皆が思う事は、教授の死因、そして、生死の真偽。さらに、ミキとサッコは、柴田がどう動くのか。
帰途の柴田は、何も考えなかった。柴田は流れを重視する。熟慮するべき事象には、考えない事も必要だ。論理と感が必要であり、それは、突然やってくる。その流れに逆らうと、間違いが生じる。
柴田は、宿舎に戻ると習慣である文庫本を睡魔が来るまで読む。
一週間経った土曜日の昼過ぎ、柴田の携帯電話がなった。
「教授から、会社にエアメールが届いた。シバタが、教えたのか」
「そう、メールの最後に会社とサッコの名前と、住所を付け加えておいた。読んでみたかい」
「読んだ『あなた方の事は覚えている。素知らぬふりをして、失礼した。私は、近く消息不明となるでしょう。生きているか天に召されているかは、私の運でしょう。同封の地図は、あの地の今まで調べた地下経路の図です。あなた方の宝探しが成就するよう祈っております。ただ邪魔者が現れます。危険な輩です。若者に期待します。慎重に』要約すれば、こんなところだ」
「そうか。静かなところで会おうか。ミキさんも」
「わかった。後で連絡する」
電話をきり、柴田は考えた。最初にすべき事、あの地に、すぐに行くか、もう少し待つか。
邪魔者が現れる、と言うことは、何かがそこにあると考えるのが自然であり、ただ、それには二通りある。一つは、宝、そしてもう一つは、見つけられてはいけない物。どちらにしてもベトナム戦争の遺物だろう。
「いつものフランス料理店で」
柴田が店に着いたのは、ちょうど夜八時、既にサッコとミキは来ていた。




