第9話 「エリーデルの町」
俺達はカサンドラと別れた後、町を歩いていた。
時間帯が昼の事もあってか、沢山の人が歩いている。
歩いている人種は様々で、日本では絶対に居ないようなピンクや緑色の髪の人、動物の耳のような物が生えた人もいる。
あれはファンタジーでよくある「獣人」だろうか?
服装も様々で普通の中世ヨーロッパ風の服を着ている人もいれば、鎧やローブのような物を着ている人もいる。
道の端の屋台では装飾品から食品まで様々な物を売っているようだ。
「ダイキさん、まずは宿を取りませんか?」
俺の少し先を歩いていたアリスがこちらを振り返ってそう言う。
この先にアリスが泊まっていた宿屋があるという。
町を色々見てまわる前に、宿に荷物を置いた方が良いだろう。
防具が消えたので、中身は空だが、バックを背負ったまま町を見るのは嫌だ。
俺は身軽なのが好きなのだ。
頭の中で色々とこれからの予定を立てながら、アリスの後をついて行く。
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「着きました。ここが私の使っていた宿、『金の皿亭』です」
アリスは二階建ての少し大きな建物の中に入っていった。
建物の中に入ると酒場のようになっていて、テーブルで酒を飲んだり、食べ物を食べたりしている人がいる。
「すいませーん!マリアさーん!」
「はーい」
アリスが入り口近くの受付に呼びかけると、奥から茶色い髮を肩の下辺りまで伸ばした若い女性が出てきた。
「あら〜アリスじゃない〜」
その人はアリスを見ると目に涙を浮かべて抱きついた。
「ゴブリンに連れ去られたって聞いて心配したのよ〜?無事で本当に良かったわ〜」
「あ、はい。あの...人が見てますから......」
アリスがそう言い、顔を赤らめると、初めて後ろの俺に気付いた。
「ん?あら、お客様?気付かなくてごめんなさいね〜」
「マリアさん、この人が私をゴブリンから助けてくれたんです」
「あらまぁ〜そうなの〜命の恩人じゃない〜」
そう言って驚くといきなり俺の両手をぎゅっと握ってきた。
「この子を助けてくれてありがとう〜もし、ここに泊まるなら宿代は無料にさせてもらうわ〜」
「本当ですか!?ちょうど宿を探していたので助かります」
正直、この世界のお金とかは持っていないので本当に助かった。
「部屋はアリスの隣にしとくわね〜」
「え!ちょっとマリアさん!?」
マリアさんはそう言うと、カウンターから鍵を取り出した。
一部、おかしな発言が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
アリスがマリアさんの首根っこを掴んでぐわんぐわん振っているように見えるがきっと見間違いだろう。
「部屋は二階の突き当たりよ〜」
「わかりました〜」
マリアさんから鍵を受け取った俺は、騒いでいるアリスを置いて2階へ上がった。
ガチャリ
2階の部屋に鍵を開けて入ると、柔らかそうなベットと小さな机のある部屋だった。
バックを机に置いて、ベットへと飛び込む。
「あぁ〜」
思わず声が漏れるが、仕方ない事だろう。
今までは森の中でろくな睡眠も取っていなかったのだ。
「あぁ、眠い......」
そのまま俺の意識はベットの感触を感じながら、闇の中へ沈んでいった。




