第2話 「ゴブ、ゴブ、ゴブブ」
ゴブ、ゴブ、ゴブブ
全部で3匹のゴブリン達は、腰に何かの獣の皮をつけ、
手には棍棒を持っていた。
ゴブリン達は辺りを見回し、敵がいない事を確認すると、屈んで水を飲み始めた。
......うーん、どうしよう。
隠れたは良いが、林の中だ。
少しでも動こうものなら、音でゴブリン達に気づかれてしまう。
正直走って逃げだしたい。
俺は佐藤大輝、ただの高校生なんだ。
ゴブリンなんて見たこともないし、まして、戦ったことなんてあるはずもない。
というか、襲われたら逃げるしかない。
俺は息を潜め、ただゴブリン達が去るのを待った。
水を飲み終わると、ゴブリン達はゴブゴブ言いながら去っていった。
「ふぅ、死ぬかと思った...」
俺はゴブリン達が去ってしばらくしてから、起き上がった。
どうやら、ゴブリン達は水を飲みに寄っただけのようだ。
もし、この先動物やゴブリンみたいなモンスターに会っても逃げるなり、身を守るなりできるよう備えなければならないだろう。
「よっこらせ...」
俺は木の影に隠したバックから剣道で使う防具を取り出し身に付けた。
それを付け終わると、今度は竹刀袋から木刀を出し手に持つ。
これで、ゴブリンが持ってたような棍棒で殴られても身を守ることが出来るだろう。
防具で視界は悪いが、身を守るためにはしかたない。
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ゴブゴブ
防具を付け、歩いていると、1匹のゴブリンを見つけた。
うずくまり、口元はムシャムシャゴブゴブ動いている。
気づかれないように回り込み、遠くから食べてるものの正体を探る。
しかし、遠くからであるため、よく見えなかった。
考えるてみると、これはチャンスかもしれない。
ゴブリンは食事に夢中、背中はがら空きだ。
バレないように忍び寄り、頭に木刀を振り下ろせば...
「殺れる...」
木刀を握り締め、ゆっくりと近づいていく。
ゴブリンとの間は1メートルほど、木刀が届く位置だ。
俺は木刀をゆっくりと振り上げ──
「ああぁぁ!」
──叫び声をあげながら、木刀をゴブリンの頭目掛けて振り下ろした!
「ゴブッ!?」
ゴブリンは木刀に当たる直前に俺に気づき振り向こうとしたが、頭に直撃を受け、倒れる。
「ふぅ...」
深く息を吐き、心を落ち着かせる。
ツンツン
ゴブリンを小突いてみるが、反応がない。
......ただの屍のようだ。
ふと、気になりゴブリンが食べていたモノを見る。
これは...
「うぉ、おぇ、おぇ」
その場にうずくまり、激しく嘔吐する。
ゴブリンが食べていたのは──人間の死体だった。
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胃の中のものを出し尽くし、胃液しか出なくなった。
口元を拭って、死体を見る。男の人で、服装はシャツじゃなくもっと目の粗い、中世のような服だ。
ズボンも同様。
腰には剣を差している。
この人は1人誰にも知られず死に、ゴブリンに喰われた。
「かわいそうに...」
男の人の近くに手で大きな穴を掘る。
そして、男の人の剣を鞘から抜き、傍らに置いてから
埋めた。
埋めたところに剣を差し、墓標にする。
「どうか、安らかに眠ってください」
墓に向かって手を合わせた。
ゴブリンに喰われるという悲惨な最後だったが、せめて安らかに眠ってほしい。




