第12話 「特例試験」
俺はヘレンさんにギルドにある訓練場まで案内された。
この訓練場で試験をするらしい。
そこでは、数人の冒険者達が各々に素振りをしたり、戦ったりしている。
特例試験というのは実力のある新人冒険者に対するギルド側の措置で、高ランクの冒険者と試合をして、合格した者は最初から上のランクで始められるというものだ。
訓練場を見回すと先程の男達を見つけた。
「では、私はこれで失礼します。後はあの冒険者に聞いてください」
そういうとヘレンさんは行ってしまった。
おいおい、ちょいと大雑把すぎやしないか。
俺、新人だよ?
勝手だってよくわからないのに、これかよ。
愚痴を言おうにもヘレンさんはすでに出てった後だ。
ため息をついて男達の方へ向かう。
「よぉ!俺が試験を行うアルフレッドだ。こっちは相棒のガッシュ。よろしくな」
「どうも、佐藤大輝です」
本当はもう少し洒落た挨拶をしたかったが、緊張してそれどころじゃない。
だって、目の前にボディービルダーも真っ青なガチムチマッチョがいるんだぞ?
しかも顔には大きな傷跡がある。
ヤのつく自由業の方にしか見えない。
背中には大きな剣を背負っている。
ガッシュって人の方はひょろりとした細身だけど眼が怖い。
こっちを親の仇を見るみたいな目で睨みつけてくる。
俺なんかしたっけ?
「じゃあ、さっそくだが、試験を始める」
内心ビビりまくりの俺にアルフレッドさんが言う。
ボディービルダーみたいなポーズをとりながら。
うわぁ、胸板がピクピクしてる。
てか、こっちに笑いかけてくんなよ。歯がキラキラして眩しいんだけど。
「試験を行うのは俺1人だ。ガッシュは俺の付き添いみたいなもんだ」
アルフレッドさんがそう言うと、ガッシュさんは俺達から離れた所で1人座った。
「俺はこの剣を使う。お前を自分の武器を構えろ」
アルフレッドさんは俺から少し離れ、背中に背負った大剣を担ぐように構えた。
あんな大きな剣、当たったら一溜りもないだろう。
「来い」
対して、俺も刀を正面に構える。
「へぇ、闇魔法を使うのか......」
俺の魔法を見て、アルフレッドさんは一瞬驚いたような顔をした後、ニヤリと笑った。
ひぃ!笑顔怖すぎだろ!
「じゃあ......行くぞ」
「!?」
それは一瞬だった。
瞬きをした一瞬でアルフレッドさんは距離を詰め、大剣を振り上げていた。
咄嗟に刀でガードするが、衝撃に耐えられず後ろに吹き飛ぶ。
「痛てて......」
受け身をとり、なんとか立ち上がる。
「あのアリスが期待するくらいだと様子見のつもりだったが、なかなか骨のあるやつだな」
俺が立ち上がったのを見て、アルフレッドさんが感心したように言う。
「くそ......」
どうする?どこから攻める?
アルフレッドさんの隙を探すが見つからない。
いや、一つ方法がある。
宿屋で試した時、俺はかなりの動きができた。
俺にもアルフレッドさんみたいな事ができるんじゃないか?
確信はないがやるしかない。
俺は構えるのをやめ、刀を左手に持つ。
すると、刀に黒い鞘が現れた。
鞘を左手で持つ。
「どういうつもりだ?」
アルフレッドさんは俺のしてることの意味がわからないらしい。
怪訝な顔をしている。
俺は左手で鞘を持ったまま右手で柄を強く掴む。
上体を深く倒し、前を見据える。
「はぁぁ!!!」
気合と共に踏み込み、刀を抜き放つ。
「なんだと!?」
一瞬でアルフレッドさんの前に移動して攻撃した俺に無防備なまま何もすることができない。
そのままアルフレッドさんの首に刀を突きつける。
「俺の負けだ......」
アルフレッドさんは武器を放し、負けを認めた。
「なかなかやるな。試験は合格だ。本当ならCランクに飛び級なんだが、俺に勝ったんだ。Bランクに推薦してみよう」
そうアルフレッドさんから話を聞いた後、
ギルドの職員と色々話し合いがあるので今日のところは帰ってほしいと言われた。
俺も疲れていたので、帰って寝ることにした。
宿に戻ると、マリアさんに挨拶をして部屋に入る。
そのままベットに横になると、そのまま寝てしまった。




