表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

赤碧玉

猿真似

作者: 切咲絢徒

 その瞬間、刹那は無限大に引き伸ばされた。

 僕は目の前を落ちてゆく花と目が合った。それは美しく、ゆったりと落ちてゆく。落ちてゆく花に触れようと手を伸ばすも届かない。僕の触れないその先でやはり美しく花は微笑みながら落ちている。

 ああ、できることならこの刹那が終わることなく永遠に続いてほしい。

 あの美しい花をつかまえようとどれだけ手を伸ばしても何かが邪魔をして阻まれる。手を伸ばせば伸ばすほど僕を阻む力は強くなる。

 花と僕とで隔絶されるからこそ美しいのだろうか。

 いつまでも僕の手先は空を掴む。

 届きたい。あの美しさに。

 僕だけが見つけた、花の美しさに。


 僕を阻む物をすべて退けて、やっと手が届いたとき、振り返るとそこには、僕の知らない美しさがあったんだ。

 先の問いは正しかったんだ。

 僕はその美しさに見とれていた。


 そんな悠久の刹那はけたたましい快速列車の警笛によりかき消された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです 一瞬で過ぎ去ってしまう別れ。止まることのない時間。引き離されていく瞬間が止まってしまえばいいのにと、思えてしまう内容ですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ