冬を想う 〜最終章 【冬の詩企画】
「ファースト・キス」
吐く息の白さの中あの女の
際立つオレンジのルージュ
その口唇に心奪われそして
一度でいい触れてみたくて
ひんやりと冷たく甘酸ぱい
オレンジを買う今日もまた
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「春まだ来」
雪混じりの風が吹く頃
君はもう
春が来るのを待っていた
野を駆け
花冠を結い
僕と一緒に戯れる
そんな夢を描いていた
サナトリウムの白い壁の中で
春を待たずに君は逝った
僕を独り置き去りにして
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「冬の夜」
ただ、恋しくて恋しくて
他の感情に流されることなく
ただ、愛しくて愛しくて
他の何をも思わず
ただ彼の人をのみ
追い求めている
冬の夜……
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「あの・こ」
冴え渡る月
凍てつく夜
何にもまして
氷の心を持つあの娘
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「冬を想う 〜最終章」
あの夏の恋は終わった
ときめきもせつなさも
今はこの冷たい風の中
全て儚い想い出の欠片
本作は「冬の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2157614/(志茂塚ゆり活動報告)
なお、本作は下記サイトに転載します。
http://huyunosi.seesaa.net/(冬の詩企画@小説家になろう:seesaablog)