表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第9章

9、梅雨の合間


それは露の晴れ間のある日だった。

わたしはその日の放課後寄宿舎に行って、野梨子たちと遊んでいた。

そして、野梨子と偶然二人だけになる時間帯があったのだ。

野梨子は寄宿舎の裏へわたしをいざない、

野梨子はわたしを見つめて、『先生わたしのこと好き?」といきなり聞いてきた。

『ああ、勿論好きだよ」わたしは極力平静を装ってそう答えた。

しかし、内心はどきどきで足が震えるような感じだった。

『そう、良かった。わたしも大好きだよ。」

『ほら覚えてる?橋のとこで始めてあったとき。

わたしね、今度来る先生はきっとわたしが大好きになるって想像してたんだ。

そしたら本当にそのとおりになったんだ。」

そうだ。わたしもまた、何か予感があった。

きっと、わたしの妖精が現れることを。

わたしは野梨子を抱きすくめたい衝動を必死にこらえた。

そしていつまでもその黒い瞳を見つめていた。

「わたしの家はね、このむこうの福間温泉で旅館やってるんだよ。今度来てね」

『ああそうだね。とまってみたいな。」

「でも、旅館を継ぐのってあんまり好きじゃないんだ。」

『先生は、おとうさん何やってるの。」

「うちはね、ちっちゃい工場をやってるんだよ。僕もそれを継ぐのが嫌でネ。

それで先生になっちゃったんだ。」

『ふーん、そうなんだ。」

そんなたわいもない会話がそれから延々と続いた。しかし、それは心の通うもの同士の

至福の時でもあったのだ。

ああ、このままずっと野梨子と一緒にいたい。

話は途切れることなく続くのだった。

好きになるのに理由なんてない。

会った瞬間にそれは始まるのだ。

ああこの人だ。心が知っている。

見た瞬間,恋は始まっている。

この人にめぐり合うために産まれてきたのだと。

その時心が納得するのだ。

野梨子はまさにわたしにとって運命の少女だったのだ。







お知らせ


私の作品で、、続き物、連作、シリーズものを、すべてお読みになりたい場合には、「小説家になろう」サイトのトップページにある「小説検索」の欄に、読みたい連作シリーズ作品群の「共通タイトル名」を入力して検索すれば、全作品が表示されますので、たやすくお読みになれます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ