防御
「じゃネルフィムもそういうのあるの?」
《まあいずれね。剣に詳しいエルザに聞きたいけど、他の剣と比較すると人化はまさにそれじゃないかな?》
「そうねネリーの言うとおりだと思う。別に剣に対して一つの機能ってわけじゃない。ただ確かにケンジ君の異常な成長力はケンジ君の能力じゃないと分かったけど、それでも効果の1つじゃないね。人としてのネリーがケンジ君を手助けしてるからだろうね。なるほどそうとうレアな効果それが人化だと思えばすっきりするんだね」
「特別効果人化って何か大事な効果どうでも良い効果に使ってしまったな…」
《どうでも良い?》
「いえいえそのすげー剣と較べると良く分からない機能だなと…」
《私だけの話をさせてもらうと、ケンジがまだ未熟な時ピンチに陥ったら発揮される緊急機能だよ》
「でも今緊急じゃないな…」
《剣との信頼関係を築くため。大体ずっと私のおかげで助かってるよね?》
「すみません、仰るとおりです…」
根本的にはさっぱり分からないし、ネリーの話は多分後付だし…。それでも特殊効果がある剣が他にもある。これが分かったのでそれと似たようなものかな?と思えば取りあえずはすっきりした。
しばらく僕は少人数のゴブリンの依頼を受け続けた。はっきりとした自分の中の変化を感じていた。剣で戦うという事をネリーの補助無しに体が覚えつつあった。師匠が多分良いんだと思う。
「ケンジそろそろ大規模な討伐を行っても良いんじゃ無い?」
「うーん、稼げてるし今のままじゃ駄目なのかな」
「私がケンジの安全は保証すから、やろう」
どーもネリーは僕をとにかく戦わせようとしてるようだ。根本の部分でネリーと僕はすれ違ってるような気がする。これが終ったら一度話し合ってみようと僕は考えていた。
ざっと見てゴブリンが6匹。以前ネリーが一人で倒した規模だ。これを僕がやるのか彼女の人間離れした動き見ていたから僕にあれが出来るのか?ネリーが大丈夫だと言ったので僕は戦うことにした。以前は僕に不味いと言っていた、しかし今回はネリーからやらせたんだ。ネリーを信じることにした。
とにかく素早くを意識した。僕は異変に気がついた。僕自身の動きが妙に早くなっている。あれここ数日も僕は戦闘をしていたけどこんな動きじゃなかった。頭で捕らえる処理もまるで違う。相手の動きがいつもより遅く感じる。これ以前のネリーにちょっと近いんだ。あっという間に3匹片付けた。油断があったわけじゃない、ただゴブリンたちは集団の利を生かし始めた。最初は僕の不意打ちの様な攻撃に戸惑っていたけど、そこから立て直すと僕を逃がさないように囲み始めた。1匹目はなんとか倒したが、2匹目に不味い事が起こった。1匹目を倒したすきをついて横から棍棒で殴られた。これは早くなったはずの僕も避けられなかった。
(あれ?)
『ケンジ止まらないすぐに攻撃』
ネリーの注意でしばらくぼーっとしていた僕はすぐに残りのゴブリンを片付けた。3匹だったから攻撃をくらったけど、2匹なら今の僕にはたやすかった。なんとか全滅させた。
ネリーは人に戻ってギルドへ帰る間に僕の疑問に対して話してくれた。
「僕確かにゴブリンの一撃くらったよね?」
「うん、くらってたね」
「でも痛くなかった、しかも我慢とかじゃない。本当に今でも全く痛くないし、きちんと腕とか動いてる。怪我なんて一切してない。これおかしくない?かなり良い感じでくらってしまったけど」
「それが以前話した剣としての私の防御の効果。以前私がケンジを止めたのはまだこの防御効果が薄かったから。以前話しましたよね。攻撃と比例して上がっていく防御の話だよ」
「うん聞いた」
「あの防御が攻撃が高まることでゴブリン程度なら鎧無しにあれだけの防御が出来るようになったんだよ」
「これが防御効果か」
「ただしゴブリン程度ならだよ?ゴブリンは見て分かるけが素早いけど体は小さくそれほど高い攻撃力のあるモンスターじゃ無い。あの程度なら今は防御効果でダメージにならない」
「じゃもしかして今日避けなくても勝てた?」
「おそらく」
「うーん今回やたらと頑張ったんだけどな。ああその時やたらと自分が早くなったり、反応が上がったりしたけどあれも?」
「うん、防御と同じく身体も強化される」
「傷は付くんだよね。ならどれぐらいのモンスターだとダメージ出てくる?」
「それは戦ってみないと分からない。私は前もってモンスターの強さをしってるわけじゃない。戦ってデータを蓄積してる。ただあくまで万が一なので今のケンジの反応と避け方攻撃力なら、そんなにやばい攻撃を食らうって似たような依頼レベルのモンスターならないとは思うよ」
疑問があってそっちが気になっていたけど、それが解消すると何か高揚感のようなものを感じていた。