剣の常識
『ケンジこれちょっと不味いね』
(ええどうするの)
『私に策がある。何が起きてもケンジはとにかく驚かないで冷静に対応して』
ネリーがそう言うと目の前がもやもやしてきて何かが現れた。
「ケンジ、ネリーだよ」
(は??)
「あちゃんと話して。もう直接は話せないから」
「何これ?」
「私人になれるんだよ。さてこれからの事を話すよ。ケンジはとにかく私から離れて。間違っても私を助けようとかしないでね。私滅茶苦茶強いですから安心して」
そういってネリーはゴブリンたちの前に飛び出していった。それからの事は何が起こったかぐらい目まぐるしいものだった。とにかくネリーが早い。こぶしでゴブリンの体を打ち抜き。蹴りでゴブリンの首を折り。特に記憶に残ったのは手刀が本当に刀のように変わってゴブリンの首を刎ねた事だった。
「ふー終了、あちゃ血だらけだね。ケンジ剣に戻るので血を拭いて」
ネリーはそう言うと人の姿が消えたと思ったら、剣が一つ地面に転がっていた。僕はゴブリンの血がついた剣を持ってきた布で綺麗に拭いた。そうするとまたネリーは人化した。
「ケンジ血どう?」
「ああ綺麗だね。で何これ??」
「私隠してることがある。ただそれは理由がある。ケンジの剣の技量の成長のためすべてを話さないだけ。それ以外は正直に答えるからさ。何?といわれても分からない…」
「そう言われてもな」
「じゃケンジ何故自分は剣じゃ無いんだろうか?なんて考える?」
「そんな事考えないね」
「そういう事。出来るから出来るとしか」
「ああ疑問、何故裸じゃないの?」
「それ重要?」
「いえ興味本位です…」
僕らは剣の事はマスターに聞けば良いとなり、ネリーに剣に戻ってもらって帰って聞くことにした。
「マスターどういう事なんですか?6匹もいるなんて知らなかったですよ」
「ええそれでどうしたの?」
「倒しました。ただその事でちょっと話したい事があります。でもその前にこれ一つ間違えると命に関わるミスなんじゃないですか?」
「ミスじゃないよ。そもそも1、2匹だしね。依頼者からの報告なので絶対じゃない。後さそれは事実だとして後から仲間とか呼んできたかもよ?」
そういえばあの時ゴブリンたちは何か合図をしてたのを思い出した。別のゴブリンをつれて群れを大きくする知恵はあるのかもしれない。これは確かに絶対視した僕のミスかもしれない。それに最初は遠目からだったため逃げるチャンスは幾らでもあった。ネリーに任せたので戦っただけだ。
「ただね、滅多に無いからね。その点私も万が一で話しておくべきだったよ。ゴメンね」
「いえいろいろな状況があると分かると確かに僕も考え無しに言いすぎました。ミスの発言は誤りです。申し訳ありません」
「そうそう、よく倒したね。ゴブリン6匹一人で倒すって本当に初心者なの?」
「つい酷いじゃないかマスターって頭にあってそっち忘れていました。まあ見てください。ネリー頼むよ」
いつものもやもやとなりネリーが出てきた。
「これがネリー、伝説の剣ネルフィムです」
「は??」
「ネリー駄目じゃない?」
《だね…》
「いやーネリーも良く分からないので剣に詳しいマスターに聞けば良いかな?とネリー人になるんですよ」
「クラクラするよ。剣が人になるなんて聞いたことも無い。そもそも伝説の剣って召喚されたものなので私が作ったんじゃないのよ。そこにケンジが一緒に召喚されたのだって意味不明なんだから」
「まあそういうもんだと割り切るか」
《だから言ったじゃない》
僕らは二人でマスターの剣についての常識を聞く事にした。言われて見ると剣について日本の常識の範囲で考えていた。だけどネリーの人化でこっちは違うのかな?と思ってたけどさすがにこれは例外らしい。そもそも日本と違うって事を一切思わずに決め付けていたのが不味かった。
「剣と言うものは売り物を見れば分かるけど、金属を加工したものでそれ以上のものじゃない。さて人化と伝説の剣。これらの間を繋ぐ剣が確かにある。通常の鉄で作られるだけの剣とは違う剣がある。それらは特殊な鉱石を混ぜたり特別な宝石で柄に細工などをほどこすものになる。それらの剣は鉄の剣とは全く違う。ケンジ君不思議に思わなかった?この店に売ってる鎧を私が進めなかったのを?」
「スライムのときは全く考えてなかったけど、ゴブリンと遭遇した今なら確かに変だね。僕はネリーが無いも言わなかったから気にしなかった」
《ケンジそれは私から話すよ。私は攻撃に比例して体を守る特別な力が働く。それが鎧代わりになってる。だから鎧は必要が無いと考えた》
「でも最初はネルフィムが戦ったじゃなくて僕が剣を持って戦ったいたよ?」
《いやだから伝説の剣はネルフィム、すなわち私だから。今の私でも同じ効果があるけど、剣になったらケンジにその効果が出るんだよ》
「伝説の剣の話になってるけど、それが私が言いたかった特別な剣が持つ効果の一つだよ」
「一つ?」
「特別な剣はすべての剣が同じ機能じゃない。防御機能は大半の特別な剣は持ってる。でもその他はてんでバラバラ。例えば氷の刃を飛ばす特殊効果がついてる剣などもあるんだよ」
僕は中世の頃の書物に出てくる魔法と言うものに多分近いと感じた。