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不適正者

「ああ、あいつダンジョンに圧迫死されない?」

『ケンジ優しすぎ…、相手は鉱石奪うため殺す事もありだと思っていた奴だよ。さっさと帰ろ。相手の生死関係なく剣を渡せば良いだけなんだから』


 ギルドに帰って取りあえずマスターに今回は鉱石をうっぱらって剣も渡した。


「ランク戦やって、鉱石も売ってってこれどういう事?」

「偶然ランク下の冒険者と深層部で鉢合わせになったんですよ」

「それ偶然じゃないかもね」

「ええ??ああ情報が漏れてるからか」

「そそ、推測だけど相手に最初から目を付けられていたんじゃないの?そしたら偶然あなたがランク上だったとその必然はさすがに無いだろうからね」

「もしかして僕がモンスター片付けるの利用されたのかな」

「それで怪我でもしてくれれば好都合だからね。途中からは明らかにケンジ君が上のランク者だと気がついて倒すことを前提で狙われたんだろうね」

「何から何まで地味な奴だな…」

「ケンジ君のランクならランク戦よりそっち重視するだろうしね」


 マスターは剣をじっと見ていた。


「ああそういう事ね。適正者の剣は印がつくのを教えたよね?」

「はい」

「これ無いよ」

「ええそれであのランクいけるんですか?」

「ギリギリだろうね。これ結構な剣だけど適性者じゃないんだよね。適正者が現れたら譲らなくてはいけないんだよ。新しい鉱石を使って自分が適正者になれるかもしれないって、冒険者の目的はたまにあるんだよね」

「そんなの偶然じゃないですか。既存の剣で試せば良いんじゃ無いですか?」

「あのさ例え適正者であっても剣がイマイチなら上位ランクはちょっと苦しいんじゃないかな。それに多分それは同時にやってると思う。その場合埋もれてる可能性があるんだよ。逆に言えば適正者になれない人って新しい剣ほど適正者になれる素質秘めてるといえるんだよね」

「だから何かちぐはぐだったのか。大物ぶった態度だけどえらくしょぼかったので」

「適正者ならもっとやれるのにと思うと歪んでしまうかもしれないね。しかも今持ってる剣も手放すリスク高いからね」

(イマイチ良く分からないシステムだな)


「マスター、良く分からないのですが、どうやって適正者チェックなんてやってるんですか?」

「単純には握るだけだよ。でもそういう話じゃないよね。定期的に冒険者同士そういった交流がギルドを介してあるんだよ。逆に言えばこの剣の持ち主も探してる側でもあるからね」

「なんかこれキツイシステムですね」

「これに関しては私が鍛冶屋でもあるから言わせて貰うと、自分が適正者じゃないのに高い剣を買ったんだからリスクはあって当たり前。私らは冒険者ギルドを平行して経営する事で円滑に進むようにしてるんだよね適正な剣をもつ冒険者が増えたほうが鍛冶屋にはどうでも良くても冒険者ギルドには得だからね。これに関しては強く自業自得って批判的にしか見ない」


 後日無事剣は返却されて、どうやらあいつ無事だったようだ。ダンジョンの謎がまた増えた。


 僕は今回の事で反省して自分で探すのはやめた。こつこつ依頼をこなすようにした。コツコツランクを上げていたけど、依頼の方が得だといえなくなってきた。僕が迷惑な冒険者から守った鉱石は特別の鉱石でランクの上がり方が全然違う。どうも依頼の鉱石探しは何か僕の考え付かない方法で簡単に見つけられるんじゃないか?と思えてきた。もしかしたらマーフィはこれに拘ってるのかもしれない。他のランカーじゃありえないが、彼は優れた剣を生み出す鉱石を探し出すマニアなのかもしれない。マスターは良い武器を作りたいと思うマニアだった。なら同じように材料に拘るマニアが居ても可笑しくは無い。マスターは教えてくれないとは思うけど、ダンジョンの謎がまた深まった。


「ねえネリー君は最強を目指すんだよね?」

「何度もそうだと言ってるよ」

「ならランクは早く上げたほうが良いよね?」

「そうなるね」

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