表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

編まれゆく

きれ

作者: 朝森雉乃

ほら

輝きは失ってもいい

どうせ元々はくすんでいたのを

磨いてみたら光ったものだからって

大切にしただけだった


思い出したでしょう

はじめに磨きだす時のこと

小さな手のひらにきれを持って

身に余る巨大なモノを前に

途方にくれながら腕を伸ばしたこと

それがなにかも分からないまま

……分からないのは今も同じだけれど

母さんに教えられたとおり

優しく

やさしく

押しつぶされそうになりながら磨きはじめたこと


泥みたいなところで汚れたことも

硬いところが刺さったことも

放り出そうとしたことも

好みの色じゃなかったことも

みんな思い出したでしょう

綺麗にできたことも

角を丸く取ったことも

追いかけてきてくれたことも

その色が好きになっていったことも


ねえ

嫌いになったらダメだよ

大切にしていたのにって

噛みつくように言わないで

わざと汚れたりしないよ

どうすればいいか分からなかっただけで

そんなに傷をつけていたら

いつか舌を噛みきってしまうよ

間違いたくないなんて

誰が最初に教えたの?


ほら

輝きは失ってもいい

手は大きくなったかもしれないけれど

もう一度きれを持つことはできるよ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ