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ごめん貞子

 オレに『金髪の貞子』と言われた金髪の貞子は

「ムキーッツ!!」

 と吠えた。

 骨ばった両手が貞子そのものの敏捷さでオレの首に迫る。

「うわーーーっ!」

 思わず頭を抱えてしゃがみこむと、頭上で「パン」という乾いた音が響いた。

「まあまあ落ち着いて」

 寒川大福の声に、そっと顔を上げると、大福が右手で金髪の貞子の両手首をつかんでいた。貞子は両手首をつかまれた状態でもまだジタバタしている。こわい。

「まあ、ステさん。落ち着いて聞きなよ。この彼がステさんの姿を普通に見ることができて、しかも会話までできるってことはビンゴだよ。ここにステさんが探し求めていた彼がいるかもしれない」

「え……」

 ステさんと呼ばれた貞子は、絶句して乱れた髪を少し直した。それでもまだ顔は見えないが、うっすら桜色に染まった頬が見えた。

「こ、こここここここここ」

 にわとりのマネか。

 玄関に尻もちをついた状態でオレは貞子と大福の様子を見守る。

「うん」

「こここここここ、ここに、いる?」

「うん。そうかもしれない」

 大福の目が意味ありげにオレを見下ろす。

 もしかして、この貞子は魔物なのかもしれない。

 昨日、寒川大福の動画を見たオヤジは「これは手品か?」といっていた。そして室内にいる魔物も「ぜんぜん見えん」と言っていた。

 この寒川という魔人の前で、魔物である(かもしれない)貞子を見て会話してしまったのはまずかったかもしれない。

 オレは意識して口をきつく結んだ。

「ねえ」

 貞子はオレの気持ちを知ってか知らずか熱っぽい声でこちらに話掛けてくる。オレは何を言われても返事をしないと決めた。

「わたしは自分の息子に会ってもいいのかしら?」

「ふぇ?」

 意志もむなしく、オレの口からは驚きの声がもれ出てしまった。

「息子……?」

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