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性分ではありません  作者: 紫音
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第44話

「……憂鬱ですわ」


王城の中庭に植え替える花々を決めたわけですがマージナル侯爵領にある種類ばかりでは余計な恨みを買ってしまいます。

そんな事は正直、面倒なため、王都に近い領地を持っている貴族達へも声をかける必要があるのです。

本来ならばアリシア様からの依頼のため、報告して手続きをしなければいけません。当然、それはヴィンセント様にお願いしてありますが私は私で動かなければいけません。

アリシア様の指示だとしてもすぐに花々を王城へと移動する事は出来ません。私はそのための下準備を学園でしなければいけないのです。


そのためにあまり関わり合いたくない人間の側にいる方に声をかけなければいけないのです。

考えただけでため息が漏れてしまいますがマージナル侯爵家の娘として責任を放棄するわけには行きません。


「……何。ため息を吐いているのですか? 私にケンカを売っているのですか?」

「誰もそんな事は言っておりませんわ」


もう1度、ため息が漏れてしまった時、私の前にいつも通りの3人の取り巻きのご令嬢達を引きつれたサーシャ様が立っています。

私の顔を見て、ケンカ腰に話しかけてくるサーシャ様の姿に頭が痛くなってくるのですがある意味、彼女が私の会いたい方を連れてきてくださったため、良しとしましょう。


首を横に振った後、サーシャ様の背後に立っているユミール伯爵家令嬢の『ラティート=ユミール』様へと視線を向けます。

ラティート様はいつもサーシャ様の影に隠れている方であり、性格も内向的なため、なぜ、サーシャ様の取り巻きをしているか疑問が残る方です。

そんな彼女は私の視線に怯んでしまったようで1歩後ずさりしてしまいます。


……私、怖がられるような事をした覚えがないのですけど。


怯えられてしまった理由がわからずに眉間にしわが寄ってしまいました。そして、私の表情を見た彼女はもう1歩、後退してしまいます。


「……ラティートに何かご用ですか?」

「そうなりますね。少々、お時間をいただけますでしょうか?」


サーシャ様はラティート様を守るように私と彼女の間に割って入り、サーシャ様の後ろで残りの2人のご令嬢もラティート様を守るように

影に隠れた事でほっと胸をなで下ろすラティート様の様子にサーシャ様も彼女なりに彼女達に慕われているのだなと思うのですが私もいじめているわけではないので本題に移らせて欲しいとお願いします。

ラティート様は私が用のあるのが自分だと知り、身体を縮ませて震えてしまいます。

その様子に私は何かおかしな事をしたのかと聞きたくなり、なんだかんだ言って1番付き合いの長いサーシャ様へと視線を向けます。

彼女も怯える理由はないと考えているようで小さく首を横に振ると小さくため息を漏らします。


「わかりました。その代わり、私達も同席させていただきますわ」

「……そうですね。そうしてくれるとありがたいです」


サーシャ様は私が彼女に声をかけた理由がアリシア様の頼み事に関する事だと想像が付いている事などもあり、ラティート様との話し合いに同席すると言われます。

今回、彼女に話す事はないのですが正直な話、ラティート様とは会話が成り立つ気がしないため、彼女の提案にのりましょう。


「あの小うるさい娘がいないのに珍しく疲れていますわね。いい気味ですわ」

「……最近はいろいろと巻き込まれている上に土いじりもさせていただけないため、ストレスが溜まっていますわ」


ラティート様の緊張を解く必要があるため、教室ではなくカフェでお話をしようと言う事になります。

カフェテリアに移動する間、私とサーシャ様がおかしな争いを起こすのではないかと考えた方達の視線が突き刺さり、私の胃はキリキリと痛みます。

そんな私を見て、サーシャ様はヴィンセント様に取り入っているから罰が当たったのだと嫌味を言うのですが正直な話、私の方が被害者です。

ただ、それを口にするとまた揉め事を増やしそうなので止めておきましょう。


「ヴィンセント様やアリシア様とお話しできるのにストレスがたまるなんて何様でしょう」

「……サーシャ様は知っているでしょう。私はそのような物が苦手な変わり者なのですよ。それより、本題に移らせていただいてもよろしいでしょうか?」


疲れていると言うなど何様だと不機嫌そうな表情をするサーシャ様ですが彼女の価値観を押し付けないで欲しいのです。

自分がある意味おかしいと言う事は自覚していますし、別にサーシャ様がヴィンセント様に近づく事に文句を言うつもりもないのでその件は終わりにして欲しい。

肩を落とした後、ラティート様へと視線を向けます。対面して座っているためかテーブルを挟んでおり、彼女は距離がある事に少しだけ緊張が解けているようにも見えます。

ただ、怯えさせる事は何もしていないため、納得はできません。


「ラティート様は私がアリシア様からお願いされた事についてどれくらいご存知ですか?」

「は、はい。えーと、王城の中庭の管理を任されたと言う事は知っています。い、今はその話題で持ちきりですから」


怖がらせてはいけないと思い、笑顔を作ってラティート様に声をかけた理由に気が付いていますかと聞いてみる。

彼女は声をかけられた事に小さく肩を震わせた後、うつむきながら返事をしてくれるものの、どんどんと声は小さくなってしまう。

一先ずは知っていてくれた事に安心するのですが怖がられる理由が私にはなく、眉間にしわが寄ってしまいそうになります。

ただ、ここで眉間にしわを寄せてしまってはラティート様をまた怯えさせてしまうため、何とか我慢します。


「そうですか。それなら、お話が早くて助かります」

「……ルディア様、まさか、ラティートからユミール伯爵家を味方に懐柔しようとでも思っているのですか?」

「違います」


お話の第1段階を終えて、続きを話そうとした時、サーシャ様からの視線が突き刺さってきます。

なぜ、そのような結論がでるかわからずに大きく肩を落としてしまうのですが彼女は私の言葉を信じる気がないようで視線で説明をするように言っています。


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