表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【詩集】射してくる夜明けの光

【詩】地面を食む鹿

作者: につき

昨晩はあんなにも

激しく降っていて

今朝になっても

しびしびと

まだ降っていた雨は

もうほとんど止んでいた


鹿が芝生の地面をんでいる

うまいのかそうでないのか

一心にんでいる


春先の鹿の角は

その黒く濡れた瞳と対照的に

白くて丸くて滑らかそうに見える


近づくと

鹿は顔を上げて

わたしを見た


わたしは

若い鹿の真っ直ぐな鼻先に

指先を伸ばして


そのままでいる雄鹿の

鼻先に軽く触れた


鼻の少し上のところの

固い毛は湿っていた


大きな黒い鼻は

すっかり濡れていた


わたしは

思いがけない赦しに

しばらく立ち尽くしたけれど


一頭だけ

わたしと向き合っていた鹿は

なんだ

と言う顔をして

向こうをむいて


また

新芽をむことへ

戻ってしまった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 鹿の湿った毛の手ざわりと飄々とした顔が目に浮かんでくるようでした。 奈良公園でエサをねだって群がってくる姿が印象的ですが、一対一で向き合うと、こんな余裕のある表情も見せるのかもしれませんね。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ