ムカシバナシ
「これはお父さんが話してたんだけど、七年くらい前に小学生くらいの男の子が肝試しに山に入って洞窟を探してたんだって。
理由はその子の住んでた村には『ヨリカタ様』って言うのがいてそれを探してたんだって。
本当は他にもそれを探して行方不明になった人が居るらしいんだけどその子達はその事を調べずに入ったらしいよ。
それで最後にその子達、どうなったと思う?」
つまらない。「何が?」って思う?
だってこの話には私が居たから。この話は事実であって、誰も知らない本当の続きがある。
「女の子が一人行方不明になったんだって。」
その女の子は私だけど、生きている理由は忘れた。間違えた、生きている理由は消した。
だって探検したのも行方不明になったのもあってるけど、その後に私は引越ししたんだよね。それもすごく遠い所にね。
だって一人死んだんだもん。
どうなったか、分かるよね?
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「ごめんなさい・・・・・。」
泣きながら謝るこいつはクラスのターゲット、宮城 信太郎。この時の私達は八歳で、こいつは七歳だったと思う。
宮城 信太郎は容姿では特にと言ってほどの変わった事は無かったがこいつは障害者だった。精神病、それは時々こいつのイメージを壊し、クラスでは異常なほど(異常なんだけど)目立った存在だった。
それはついに低学年全般に広まり、いつしか宮城 信太郎はイジメのターゲットになった。
「いちいちうぜーんだよ。謝るんだったら最初から変なことしてんじゃねーよ!」
そう言って机を思い切り蹴飛ばし、宮城 信太郎を脅すのは私達のリーダー的な存在の名取 俊介。気が荒いけどすごく仲間思いで本来なら親切だ。
そんな俊介が何故怒り狂ってるかと言うと、宮城 信太郎がいじめっ子と間違えて私をいきなり殴ってきた。
その時にタイミング悪く俊介がそこに居た。つまり宮城は運が悪かっただけだ。それでも殴ったのは事実で、俊介の機嫌も収まらず内容がエスカレートしていった。
正直な所、めんどくさい。
「俊介、もういいじゃん。教室行こーよ。」
「ダメだ!こいつはちゃんとケジメつけさせるんだよ!」
八歳のアホなガキがどこでそんなこと覚えたんだ?
俊介は本当に気が短いからめんどくさい。でもちゃんといい奴なんだよ、本当は。