エセタバコ事件 その3
「それは…。」
その時
「キーンコーンカーンコーン」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あっ。昼休み終わっちまった。」
「まァ、焦るなカイジ。お二人さん、先生にはうまくごまかしておくんで探偵部の部室でゆっくり話していてください。」
「お、おう。」
「わかったわ。」
ヒダたちはビンゴとマリンを部室に連れて行った。しかし、三人とも部室のドアの陰から離れようとしなかった。
「おい、ヒダ。先生にごまかしに行くんじゃなかったのかよ。」
「ンなわけねェだろ。こんないいとこで離れられるわけねェよ!」
「シッ!二人とも。話し出したわよ。」
「私がビンゴくんとしゃべらなくなった理由、自分でもよくわからないんだけど、多分ビンゴくんを異性として見るようになってしまったからだと思うの。」
「オレがマリンの女子の友達より頭が悪いからか?」
「ううん。そんなことないわ。ビンゴくんは勉強以外の勉強よりおもしろいこと教えてくれた。」
「えっ。」
「私の家にはない少年マンガを一緒に読んだり、自転車で遠くて行ったことがない桜のきれいな公園に連れて行ってもらったり、その公園に秘密基地を作って一緒にのんびりしたり、ビンゴくんと一緒に遊んでてとっても楽しかった。」
「じゃあ、なんで中学生になってからいきなりしゃべらなくなっちまったんだ?」
「小6の春休みの時、二人で水族館に行ったでしょ?あの時ふと思ったの。なんだかこれ以上ビンゴくんと一緒にいたら友達以上の関係になりそうで怖いって。」
「友達以上…。」
「だから中学生になってから極力ビンゴくんとしゃべらないようにした。でも、もう大丈夫。ちゃんとしゃべれるから。」
そう言ってマリンはビンゴに抱きついた。
「好きよ。ビンゴくん。」
「オ、オレも好きだ…。」
「く~~~っ!いいね。ああいうの。」
カイジは興奮している。
「生徒会長のスキャンダルよっ!きゃ~~~!」
コマチも興奮している。
「チッ。つまんねェなァ。フラれると思ってたのによォ~。リア充めッ!」
ヒダは吐き捨てるように言った。
そのころヒダたちのクラスでは…
「おい、木曽川と秋田と立川はなにやってんだ。もう授業始まってんぞ。」
「上野先生。」
「なんだ弘前。」
「彼らは探偵部なんです。大目に見てやってください。」
「ああ、そうだったな。でも授業中まで活動してもいいなんて言ってないんだけどな…。」
上野は苦笑いした。
後日ビンゴとマリンは二人そろって探偵部室に来た。
「いや~、この間はありがとう。おかげさまでオレたち付き合うことになりました。」
「私も二年くらいもやもやしたまんまだったからスッキリしたわ。」
「ところでオレのタバコのことはどうなったんだ?」
「それは私がこの子たちから聞いて生徒会長の権限でもみ消したわ。」
「さすがマリン~。おぬしも悪よの~。」
「いえいえ。ビンゴ様こそ。」
「おい、それ以上のろけんな。むかつくんだよ。とっとと失せろ。このリア充ども。」
「まあまあヒダ、キレんなって。よかったじゃんか。解決して。」
「そうよ。こんなロマンチックな事件なかなかないわよ。」
「フン。」
「じゃあ、オレたちはこれで。」
「次ン時は浮気調査でどっちか来いよ。」
こうして探偵部の最初の事件は幕を閉じた。
ヒダのリア充嫌いが半端ないですね。
でも探偵部の三人の中では一番モテそうなやつだと思うんですが、人によるかな。