エセタバコ事件 その2
今回はセリフ多めです。
「それは…。」
部室が静まり帰る。
「強がるためだ。」
「強がる?あんた背ェもあるし、ンな必要ねェと思うが…。」
「いや、こうでもしないとマリンに振り向いてもらえねえんだ…。」
するとコマチが口を挟む。
「マリンってあの児島マリン先輩?」
「知ってんのか、コマチ?」
「この学校の生徒会長よ。入学式のときいたじゃない。」
「ああ。よく知ってんな。あいつはオレの幼馴染だ。家が隣で小学校のころはよくお互いの家に行って遊んだりした仲だ。だが、中学校になってからマリンとオレの差が分かっちまったんだ。」
「差ってなんだィ?」
「学力だ。小学校のときはあまり意識してなかったが、マリンは天才なんだ。中学校になると学力の差ははっきり出る。残念ながらオレは体がでかいだけで体力も人並みだし勉強は下の下。だがマリンはテストでは毎回一桁の順位を取り、今じゃ生徒会長だ。登校する時も下校する時もマリンと同じ道、時間なのに口もきかないし目も合わさない。だから…。」
「だからあんなくだらねェことしてたのかィ?」
「怒られてもいい。マリンにかまってほしかったんだ。」
「ほんとにそのマリンってやつに嫌われたと思ってんのか?」
「えっ。だって目も合わせてくれねえんだぜ。嫌われてるよ…。」
「でもそいつのこと気になるんだろ。」
「そりゃあ、まあ。」
「じゃあ、児島マリンに会いに行くかッ!」
「え~!それはちょっと…。」
「ま、ヒダならそう言うよな。」
「こんなデリケートな問題でも単刀直入ね。」
「行くぞッ!生徒会長児島マリンの元へ!探偵部…。」
「「「出動ッ!」」」
今回は三人揃った。
「こういうゴシップものは女子として見逃せないわっ!」
「人の恋愛のアシストをするってこんなにおもしろいのか!」
「人がフラれた瞬間が気になるッ!」
「おい、お前らおもしろがってないか!?」
こうして探偵部一行は生徒会室に向かった。ビンゴも引きずられて行った。
「コンコン、たのもォー!」
ヒダは少しふざけた感じで言った。興奮しているのだ。
「おいヒダ、はしゃぎすぎだって。」
となだめるカイジもニヤニヤ顔だ。
「すいません。生徒会長の児島マリンさんはいらっしゃいますかァ!」
「私が児島だけどあなたたちは?」
「あたしたちは探偵部です。先輩に会えて光栄ですっ!あたしも将来は生徒会長になってこの学校の制服を変えたいですっ!」
「制服?っていうかあなたの制服、なんでBB弾がくっついてんの?」
「それはあなたのハートを打ち抜くためですよ。この男が!」
そう言ってカイジが廊下からビンゴを連れてきた。
「よ、よう。マリン。」
「ビンゴくん。…久しぶりね。」
「あ、ああ。面と向かってしゃべんのは久しぶりだな。」
「さァ、ビンゴ先輩。気になってること、言っちゃってッ!」
「マリン!なんで君は中学校に入ったら急にオレとしゃべらなくなっちまったんだ?」
「それは…。」
前回と同じ終わり方です。
意図してやったわけじゃないんですが…。
ちなみにヒダのセリフで「背ェもあるし…」というセリフは「ェ」は打ち間違いだったんですが関西弁みたいでおもしろかったのでそのままにしました。