入学式
やっと舞台の汐留中学校に入ります。
ヒダたちは集合時間ギリギリに学校へ着いたが式までは少し時間があった。下駄箱の前にはクラス分けの紙が貼ってあった。
「ほう。この中学校まだ焼却炉があるぞ。あとで中身見に行こうかなァ。」
「そこ感心するか?それよりクラス分け見に行かねえと。式に遅れるぞ。」
一足先にコマチが下駄箱の前にいた。
「ねえ!あたしたちクラス一緒よ!一年二組だって!あたし出席番号女子の中で一番よ!」
「またお前と一緒かよ。メンディーなァ。」
「何よヒダ。あたしとクラスが一緒になることよりあのボロい焼却炉の方が気になるっていうの!?」
「そうに決まってんじゃあねェか。つーかボロいのに今も残ってるっつーとこにロマンを感じんだよ。」
「じじくせ。」
「なんだとカイジ。おめェだって「おれやっぱ国鉄型(国鉄時代、すなわちJRになる前に造られた列車)が好きだわ。」とか「おれ今度廃線跡見に行くんだ。」とか鉄道関係の古いモン大好きじゃあねェか!」
「それとこれとは別なんだよ!第一焼却炉は車両をスクラップにするとこだからおれはあんまり…。」
「あの~、入学式始まっちゃいますよ。」
「お、ツガル。お前のこと忘れてた…。よし、カイジ。入学式へ…。」
「出発、進行~~~。」
こうして四人は無事に入学式に間に合った。
「どうも。校長の神田ショウヘイです。本日は御日柄も良く…」
「こういうのがメンディーんだよな。」
「まあ、我慢しろって。」
「ところでうちの学校は基本的に帰宅部は禁止です。できれば三年間ひとつのことに打ち込んでもらえると…」
「おいおい、俺がひとつのことにそんな長い間ひとつのことに打ち込めると思ってんのか。一番長くてバスケを半年だぞ。」
「まあ、ヒダは飽き性だからな。」
「実は前年度で茶道部が廃部になったので文化部の枠がひとつ空いているんです。なので今なら部員が三人以上確保できていれば新しい部を作ることができますよ。」
校長のその言葉を聞いてヒダの目の色が変わった。
「これだ!これで俺の部を作って気になることだけやれたらこの上ない幸せだ。」
「でもあと二人どうすんだ?」
「おめェとコマチに決まってんじゃあねェか。」
「マジでか。」
そして入学式が終わり、教室へ移動した。
「今日から君たちの担任になった上野アカギだ。わからないことがあったらなんでも言ってくれ。」
「先生。」
「え~と。木曽川君。何か?」
「新しい部活作りたいんですけど。」
「えっ!」
(ヒダ言うの早すぎだろ。コマチもびっくりしてんぞ)
「えっと、その話はまたあとでお願い。」
教室がざわめいている。汐留中学校はヒダたちの出身校の中央小とツガルの出身校の烏森小の生徒が通う。中央小ではヒダの奇行は有名だったが烏森小の生徒はびっくりしている。
(おれ時々こいつといると恥ずかしくなるんだよなあ)
カイジが言っていた鉄道用語の説明、わかっていただけたでしょうか。
ちなみに僕は国鉄型だったらキハ40が好きです。
ボックスシートが風情があっていいです。