ヒルドラ事件 その2
「次は終点、新宿~。新宿~。」
「みんな、着いたよ。降りよう。」
「ンなことぐらいわかってるって、カイジ。」
ヒダたちは定刻通り新宿駅に着いた。帰宅ラッシュが近く、人が多くなってきていた。
「やっぱ都会だなァ。人がゴミのようだぜェ。」
「あ~。そのセリフあたしが言いたかったのに。」
「ラ〇ュタトークはいいからツガル君のお母さんの職場に行こう。ツガル君場所わかる?」
「うん。一回来たことあるから。」
探偵部一行はツガルを先頭に大都会の中を突き進んでいった。そして一際大きいビルの前にたどり着いた。
「ここだよ。」
「おいッ!ここって日本でも指折りの大企業「ヒロサキホールディングス」じゃあねェかッ!つーかお前の名字も弘前だったよなァ。つーことは…。」
「うん。ぼくのお母さん、ここの社長なんだ。」
「え゛~~~!」
「ヒタチ君といいツガル君といい汐中って変わった境遇の子が多いんだな。」
「ヒダ、驚いてる場合じゃないわよ。もしお母さんが本当に浮気してたら口止め料としてあたしの服を特注で作ってもらえるかもしれないわ。」
「コマチ、お前ェ今すげェ不謹慎なこと言ってんぞ。」
「とりあえずお母さんが出てくるまで待ちましょう。」
ヒダたちはビルの太い柱の裏で社長を待ち伏せた。そして18時になった。
「社長、お疲れ様です。」
「あの企画はよろしく頼んだわよ。」
「はい。わかりました。」
ビルの大きな自動ドアが開き社長とその部下が出てきた。
「出てきたぞ。18時ぴったりじゃあねェか。」
「そうね。これで残業はウソになったわね。」
「お母さん…。」
ヒダたちは追跡を開始した。
「おい、この道ってさっき通った道じゃあねェか。」
「おう。そうだな。あっ。電車見えてきた。」
「カイジ、いちいち電車に反応すんな。」
「ちょっと二人ともよそ見しないで。駅に入って行ったわよ。」
そして汐留市方面へ行く列車のホームまでたどり着いた。
「次の列車は急行小田原行です。」
「ほォ。大企業の社長も電車通勤なのかァ。」
「うん、お母さんこの鉄道会社の株持ってるから割安で通勤できるって言ってた。」
「おれも株欲しい!」
「カイジならそう言うよなァ。」
そして電車に揺られること20分。
「次は~汐留市~、汐留市~。」
「あっ。お母さん降りるわよ。」
「今18時38分だ。このまま帰れば19時前にはツガル君の家に着くけど。」
しかし、弘前社長は自宅のある閑静な住宅街ではなく居酒屋の多いネオン街の方へ歩いて行く。
「本格的に怪しくなってきたなァ。」
「お母さん…。」
「あっ。お母さん店に入ったわよ。「熱田喫茶」って書いてあるわ。」
「おれここ知ってるよ。汐留市で一番大きいマンガ喫茶だ。鉄道雑誌も置いてある。」
「よし、俺らも入るぜェ。潜入捜査っつーやつだ。」
「ヒダ楽しんでないか?」
ヒダたちは夜のマンガ喫茶に入っていった。
ヒダたちが乗った鉄道は小田急線がモデルです。
ロマンスカーが有名なんですけど関東の人しか分からないかな。