表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/94

    32

 すべてを包み込むかのような闇だった。優しく眠れと囁くような、夜だった。

 星が瞬いている。自らの輝きを誇りに思っているようで、自信に溢れた美しい光だった 東の空を見上げていた。


「真ん中のかわいらしい星は、あの子ね。四つの星が守るように囲んでいる。

……ああ、でもひとつだけ、近づこうとしているわね。焦がれている色をしているわ。あの子が恋しいのね」


 くすくす、と、ミリオンが小さく笑う。

 コルバルトは複雑な顔で、空を見上げた。


「みてごらんなさいな、コルバルト。あの五つの星は、まるで東の空を守っているかのようだわ。いいえ、事実、そうね」


 ミリオンは微笑み、眼を閉じる。

 彼らの勇姿が鮮明に思い出される。なによりも、あの美しい桜の乱舞が強く浮かぶ。


「国に帰りましょうか」


 しっかりとした口調でコルバルトが言うとミリオンは眼をつむったまま頷いた。

 足下でまるまっていた、ヴェスタとイシュタルが、小さく鳴いた。

 コルバルトは星を見上げたまま、眼を閉じる。

 そしてそっと、四つの星に囲まれた小さな星に、口づけした。

 

       マタ、オイデ。

 

 精霊の声が、聞こえた気がした。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ