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     13

火祭ひまつり朱人あけと……か」


 今度は観咲が意外そうに光を見る。


「火祭一族は結構派手に仕事をしているだろう? だから知っていた。だが、水泉寺すいせんじ桜屋敷さくらやしきは」


「我らは力を他人に見られるのが好きではないからな」


 ぼそり、と呟かれた言葉を聞き、皆の視線は知らず美夜に集中した。


 だがとうの美夜はなにやら考え込んでいる その横顔が、時々見せる物思いにふけている時の顔と同じだと、弓月は気づいた。


「昔は……桜屋敷の者も、兄さん達のような仕事をしていたんでしょうが……今は……」


 その言葉の中に、いつも悩んでいることに関わる何かが含まれていると感じ、弓月は美夜に神経を集中させる。

 だが何もわからず、ただもどかしさだけが心に残った。


 流れた沈黙を経ち切ったのは涼しげな鳥の鳴き声だった。


「ああ、忘れるとこだった」


 はっとして美夜から目を離し、胸元に手を差し入れる。

 美夜に見蕩れていたのだと、目聡く観咲は気づき眉をひそめる。

こいつも要注意だな。

 即座にチェックを入れ、後で美夜にそれとなく警告しておこうと心に決める。


「これを美夜に」


 と言って光が取り出したのは、小さな緑褐色の小鳥だった。


「鳥をそんなところに入れとくな」


「鳥は鳥でも特別製なんだ。えさもいらないし人間並みの知能はある」


 観咲の軽口に応え、小鳥を差し出した。


「うぐいす……ですか」


 弓月の問いには曖昧に微笑む。

 小鳥は光の手を離れ、美夜の肩に乗る。


「それとこれを」


 そう言って光は大きな箱をテーブルの上へ置き、蓋を開けた。

 皆が息を呑むのを笑いを浮かべて見渡してから、美夜の顔を覗き込む。


「美夜にプレゼントするよ」


「で・でも、これは……」


 戸惑いながら、美夜は箱の中のウエディングドレスを見た。


「美夜がはらってくれたから、もう無害だよ」


「でも…、こんな高価なもの、いただけません」


 困惑しながら光を上目に見る。


「ふむ。じゃぁ、これは風車かざぐるまくんの治療費ということにしよう。できれば美夜が着たところが見たかったんだけど」


 美夜の反応のひとつひとつを楽しげに見る なぜか皆沈黙したのを不安げに思いつつ、美夜は心底困る。


「いや、それは楽しみにとっておくか」


 笑いながら言う言葉は、結婚式には招待しろとも、弓月と涼への宣戦布告とも聞こえた。


 このドレスを着た美夜をぼんやりと想像していた三人と光の間に、なにやら険悪な雰囲気が漂うのを、美夜はおろおろと見比べていた。


 そこへ来客を知らせるベルが鳴った。

 

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