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     12

 結界を支えながら、光の持つ膨大な力に遠退きかける意識を、必死で引き寄せていた。


 光が早く立ち去ることを願いながら、気絶すまいと歯をくいしばる。


「なんだ、こいつらは」


 道端に転がる妙なものでも見つけたような口調で、いやに勘に障る声を聞き、観咲は咄嗟に怒鳴った。


連金れんきんのパツキン野郎か!」


 途端、光が消えた。


 ミリオン、コルバルト、そして美夜がそれぞれ膝をつき、倒れた。


 観咲や弓月、そして涼は力を使うことに慣れているため、倒れはしなかった。


 ミリオンとコルバルトは倒れてしまうほど力を使ったのだ。


 美夜を抱き起こす弓月と涼を、視界の隅で確認してから観咲は上を見上げた。


 金髪の青年連金光が、光をまといながら浮いていた。


「随分と派手にやり合っていたな」


 なにやら大きな箱を抱えながら降りてくる


「誰なんだ、こいつらは。ああ、魔女か」


 ふらりと立ち上がったミリオンの足下に転がるカップやステッキを見下ろして頷いた。


 驚愕しつつ光を見、ミリオンは素早くステッキを拾いアスファルトに円を描いた。


「敗走か」



 嘲る光を睨みつつ、ステッキでその中央を打つ。二匹の猫と倒れたままのコルバルトと一緒に、ミリオンの姿は円の中へと沈んでいった。


 完全に姿が消えると、円も消えてしまう。


「なにしに来た!」


 怒鳴る観咲を冷たく見返してから、なにも言わずに美夜を見る。


「詫びを入れにね」


 それが勘に障った弓月と涼は、目つきを鋭くする。

 ただ美夜だけが、きょとんと小首を傾げていた。



 

 光に害意がないことを何度も確認して、桜屋敷へと招いた。

 顔色のすぐれない美夜がキッチンへ向かおうとするのを観咲が止める。弓月もやんわりと休んでいるようにと告げ、キッチンへ行き案外素早くお茶を用意してきた。


 美夜の両側に陣取る観咲と弓月。そしてそれを向かい側に座る涼が無表情に見ている。

 そんな四人を見渡し、光は含んだ笑いを漏らした。


「どうかなさいましたか」


 ここは桜屋敷であり、主人である美夜の掌の中でもある。その桜屋敷内でいかなる行為を行おうとも、桜屋敷の力を完全に継承した美夜にはかなわない。

 そんなこともあり、美夜の口調は穏やかだ


「いや……、数百年もの間それぞれの一族が不明だったというのに、まさか私の代ですべての一族がこうしてひとつのテーブルを囲むことになろうとはね」


 感慨深気な光の言葉に、今度は観咲が軽く笑った。

 問うような光と涼の視線を受け、観咲は弓月をちらりと見る。それは共犯者同士の無言の確認のようだった。


「存在だけは知っていたんだ。会ったことも住んでいる場所も知らなかったがな。親父独自の情報網があるらしい」


火祭ひまつり朱人あけと……か」

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