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 ポッ、と音がした途端、水泉寺すいせんじ少年は敏感に反応し観咲みさきに向かって手を突き出した。

 観咲は指先に灯った炎ごと全身を水に包まれる。


「先生!?」


 駆け寄ろうとした美夜を冷たい手が捕らえた。

 ぎくり、として振り返る。


「!」


 瞬時に美夜の背後へ回り込んだ水泉寺少年は有無を言わさぬ強い力で美夜を引き寄せた それとほぼ同時に、観咲を包んでいた水の膜が爆発するかのような音をたて、蒸発した 水蒸気が室内に満ちる。


「桜屋敷に触るな」


 美夜へ手を伸ばしかけるが、突然せき込み膝をつく。肺に濃厚な水蒸気が入った。

 狂ったような水泉寺少年の笑い声が響く。


「雨よ、来い!」


 水泉寺少年は高らかに叫んだ。


「もうやめてっ出て行って!」


 離れようとするが、水泉寺少年の腕は見かけからは考えられないほど強固だった。

 水泉寺少年は笑いを浮かべながら美夜を見下ろす。


「効かないな。そろそろ僕の力の方が強くなったみたいだ…」


 突然、その身体が弾け飛ぶ。


 その向こうには、手を構えた弓月がいた。

 風車かざぐるま弓月ゆみづき、風を操る一族の者。かまいたちを放ち、水泉寺少年を攻撃したのだ。


「先生…」


 力の抜けた美夜はその場にへたり込む。


「大丈夫…ですか?」


 いまだ回復していない弓月は苦痛に柳眉をひそめながらも、美夜を気づかう。


「はい」


 力なく頷いてから、喘ぐ観咲に気づいた。


「先生!」


「大丈夫だ…。油断するな、あのガキはまだその辺にいるはずだ」


 呼吸を整えつつ立ち上がる。美夜は肩を貸そうと駆け寄った。

 

     ザ…

 

「…雨…」


 美夜が呟くのと観咲が舌打ちするのは同時だった。

 問うように、苦々しい顔をした観咲を見上げた。


「俺の張った結界は大量の水に弱いんだ。あのガキ…まさかお前のことを嗅ぎ付けているとはな」


「…けっかい…? 嗅ぎ付ける…? 一体、先生達はすみません…今は聞く時ではありませんね」


 浮かび上がった疑問を呑み込む。無意識のうちに、触れない方がいいのだと思っていたのかもしれない。


「俺達はもう先生じゃない。こっちが本業なんだ。…そのために教師として学園に潜入した。本業ってのは…今は、お前のボディガードだとでも思ってくれ」


 観咲は弓月に目くばせを送り、言葉を選びながら言った。

 弓月は観咲の意をくみとり頷くと軽く口笛を吹いた。途端、美夜を中心として風が起こる。美夜の周囲に風による結界を張ったのだ


「そこから動かないでください」


「結界が破れた!」


 美夜が頷くのと同時に観咲が声を荒らげた 



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