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寒さ嫌いの氷魔術師  作者: カフェイン
第二章 任務編
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敗北 力の差

正人は正直焦っていた。

こちらは咲が蔵斬との戦いで疲弊しており、自分も先ほどではないがこの長身の男、白井の水氷魔法を受けダメージを受けた。

それでも一応、状況としては五対一なのだが先ほどの攻撃を見る限り相当な手練れだということがわかっている。


「それじゃあいくよ」


白井は右手に武器を生成し、正人たちの方に突っこんできた。

彼の右手にあるのは刃渡りが約10cmほどの一丁のはさみ

普通では刃の内側だけが切れるようになっているのが鋏なのだが、白井の持っている鋏は外側も切れるようになっている。


「来るぞっ!」


5人は一斉にオーラを使い、身体を強化する。

ちなみに、正人、光、星姫は光陽の魔力を俊介、咲は闇陰の魔力を持っている。

相手の狙いは俺だ、なら・・・・・


「咲はいったん下がれ、俊介は俺と前で、光と星姫は援護頼む」


「「「「了解」」」」


予想通り白井は正人の方へ来た。

正人は先手を取るため遠距離から魔法を放つ。


「凍てつけ、氷断牙」


「撃ち抜くは水竜の息吹」


正人が放ったと同時に光も合わせて水の弾丸を撃つ。

二つの魔法は一直線に白井の方に向かっていくが、白井は武器の鋏を一振りするだけで切り裂いた。


「嘘だろ・・・・・」


その光景に呆然とするも、自分のもとに白井が走りこんでいるのを見て気を引き締めなおす。

と、そこに雷の矢が大量に白井に襲いかかる。

星姫は白井の側面に移動しており、隙を狙っていたのだ。

白井は足を止めることを止めず、自分に当たる最低限の矢だけを切り裂き、それ以外はすべて避けていた。


「目障りだよ。果てろ」


鋏を一振りし、星姫に黒い衝撃波を放った。

どうやらあの鋏は暗陰属性の魔力で生成されているらしい。

床をえぐりつつ向かっていく衝撃波を星姫は何とか避けた。

避けられたことに少し驚いている白井の背後に俊介が近距離の魔法を使う。


水造形クリエイト・アクア水斧アックス


俊介が手を振り上げると、白井の上に大きな水の斧が現れた。

水造形クリエイト・アクアは、俊介が「詠唱ってめんどくさいよね」と言って考案したもので、詠唱を統一し応用性を上げたらしい。

正直、正人には原理はわからないが俊介は使いやすくなったそうだ。

俊介が手を振り下ろすと、斧も勢いよく振り下ろされた。


「なかなかやるね、でもまだまだだ」


白井は後ろを振り向かず鋏を振り上げるだけで俊介の魔法を切り裂いた。

そして、体勢を整えると再び正人の方へ斬りかかっていく。


「光、下がれ」


正人はとっさに光を下がらせ一対一で白井に立ち向かっていく。

全力で対抗するが、白井の武器は小回りが利き手数が多いので正人は防戦一方だ。

正人の防護服に一つ、また一つ裂傷が走っていく。

何とか蹴りを相手の胴にいれ、距離を取って再び構えを見せる。


「はあ、はあ、クソ」


正人たちは5人がかり(今は咲が休み4人だが)で戦ってもほとんどダメージ与えられないことに皆焦っていた。

白井は余裕の表情でこちらを見ている。

どうやら遊んでいるらしい。


「正人、今度は私が行く」


正人が次の手を考えているところで、休憩をし終えた咲が高速移動を使い白井に斬りかかっていった。

しかし、左右のダガーで巧みに斬りかかるも、白井に片手の鋏で攻撃を全て弾かれる。

咲の高速移動でさえ敵わないのか。

そう思いつつもその考えを頭から振り払い、正人は白井に向かっていった。


「俊介、ちょっと咲と一緒に足止め頼むわ」


「いいけど、正人はどうする気だい?」


「ちょっとばかしデカいの撃つ」


その言葉に俊介は頷き一直線に相手のもとに向かっていった。

咲の横に並び、目だけで正人の方を指す。

それだけで咲も理解し一つ頷くと、白井の方に向き直った。


「光ちゃん、 私たちは俊介君の援護に向かいましょう」


「そうね、正人が詠唱終わるまで時間を稼がなきゃ」


遠距離組の光と星姫も前線に向かって正人のための時間稼ぎに加わった。

流石に4人同時攻撃には耐えられないのか、徐々に4人が盛り返し始めた。

それでもやっと均衡になったくらいで、白井の方は全く焦りもしていない。

正人の行動に気づいていない筈はないのだが、余裕な笑みを浮かべている。


「・・・・・・風よ雪よ、今我に集いその者を凍てつかせよ」


時間稼ぎが成功し、正人の詠唱が完了した。

咲たち4人も詠唱が終わったのを確認すると一斉に横にとんだ。

全員が当たらないとこまで避けたのを確認して・・・・



永久吹雪エターナルブリザード!」


クラス替え試験の戦闘考査の時に使った技を放った。

以前、俊介と戦ったときは空気中が永久吹雪エターナルブリザードを放つ条件に良く適していたが、今回は普通の状態から放ったため少し時間がかかってしまった。

氷雪が白井を包み込む。

これで勝ったかと思われたが正人の正面、白井が立っていた場所から黒い衝撃波が全方位に放たれた。


「今のはいい技だった。少し危なかったね」


まだ氷の結晶がキラキラと輝き、白い霧であまり何も見えないところから白井の声が聞こえた。

今のは紛れもなく正人の全力の一撃であった。

それなのに、少し危なかっただけだと。

その男の言葉は5人の士気を奪うには十分だった。


「じゃあ、これはお礼だ。しっかり受け取ってくれよ」


白い霧がだんだんとゆがんでいく。

そして、一つに集まりながら色を白から黒へと変えていった。

その塊は白井の掲げている掌の上に降り立つ。


「君の技、永久吹雪エターナルブリザードって言ったっけ。」


掲げた手を前に出す。

伏せろ、と咲が大声を上げるが伏せて避けられるものじゃない。

正人はとっさに近くにいた光の前に立ち、来るべき衝撃に身構えた。


「こんなのはどうかな?混沌吹雪カオスブリザード


黒い吹雪が正人たち全員を襲った。




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