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寒さ嫌いの氷魔術師  作者: カフェイン
第二章 任務編
18/23

委員長 護峰院咲

咲は二刀のダガーを逆手に持って構える。

相手の体の細部まで観察して、出方をうかがう。

いつでも戦闘を開始できるようにしていた。


「へえ、あんたが相手か。いいぜ、かかってきな」


咲とは違い、蔵斬は完全に咲のことをなめきっていた。

構えも見せず、ただ手に炎をともしているだけ。


---なんなら手加減してやろうか---


蔵斬がそう挑発をしたとき、

咲の体はすぐ目の前まで接近していた。


「はっ」


咲はダガーでおもいきり斬りつける。

斬りつけるとは言うものの、オーラがかかっているので直接肉が切れるわけではないが、それでもかなりのダメージが与えられる。

神速で放たれた斬撃は蔵斬にクリーンヒットし蔵斬の体は10メートルほど吹っ飛んだ。


「どうした、その程度か。なんなら手加減してやるが」


先ほどのお返しと言わんばかりに、おもいきり皮肉を言う。

女だからと言って安く見られたことが気に食わなかったのだろう。

少し額に青筋が浮かんでいるような気がした。


「咲さんてこんなに強かったんですか」


星姫が驚きに満ちた顔で言う。

正人も光も俊介ももちろん驚いていた。

しかし、よく考えると咲は2年の首席である。

12クラス480人のトップというのは伊達じゃないってことか。


「いってーな畜生」


蔵斬は少しふらつきながら立ち上がった。

咲の一撃をくらい、今度は油断せずしっかり構える。

そして、初めはゆっくり、次第にスピードを上げ走りだし。


「焼き尽くせ!」


蔵斬は接近しながら火炎の魔法を使った。

炎は螺旋を描きながら咲のもとに向かっていく。

咲はさっきの高速移動で避ける。


「いくぞ」


そして、蔵斬に近づき二刀ダガーでの連続攻撃を繰り出す。

蔵斬もそれに対応しオーラを少し強めに纏った腕で弾き、ときどき攻撃も繰り出す。

攻めては守られ、攻められては守る。

まさに一進一退の攻防であった。


「ちっ、女のくせにやるじゃねえ・・かっ!」


喋りながらも強く鋭いけりを放つ。

咲は右腕でガードするが、体重の差から少しのけぞった。

蔵斬はそれを好機とみて火炎の魔法を放った。


「喰らえ」


両手に出した炎を前に突き出す。

そして、相手を食べるかのように両手をあわせた。

炎は咲を覆いつくすように燃え盛るが咲の起こした突風によりかき消された。


「そろそろ決めさせてもらう」


咲はそう宣言し蔵斬に高速で接近する。

慣れてきたのか、蔵斬もそれに反応し咲の攻撃を捌いていく。

しかし、光陽魔法を使いオーラを発動させ咲はさらに速く動いた。


「なっ、速い・・・・」


一瞬で後方に回り込んだ咲はダガーを順手に持ち替え頭上に振りかぶる。


「風神の一撃を受けよ、風鎚ストームシュート


刃先に出現させたのは暴風の塊。

それを思いっきり蔵斬に投げつける。


「(防ぐのは無理か・・・・なら)んなもん、壊してやるよ!」


詠唱なしで右腕に炎を纏う。

今までで一番大きく威力のある炎だ。


「うらぁ!」


風の塊に向けてその炎をおもいきりぶつける。

凄い衝撃が正人たちのほうにまで飛んできた。

しかし、最初は均衡を保っていたが、徐々に炎が押され始めた。

だんだん蔵斬が後ろに押されていく。

炎は小さくなっていき、やがて消えてしまった。



「ぐああああああああ」



炎に打ち勝った風の魔力が蔵斬を切り刻む。

さらに、追い打ちをかけ再び逆手に持ち替えたダガーで連続で斬りつける。

一撃一撃が振るわれていくごとに蔵斬の魔力が下がっていく。

正人たちはただ茫然としてその光景を見ていた。



「咲さん、めちゃくちゃ強いな・・・・・・・」


俊介のつぶやきに他の三人は頷くことしかできない。

それほどまでに咲が圧倒しているのだ。


「流石は1組の委員長だね」


「俺も一応委員長なんだよな。なんか自信なくしてきた・・・・・・・」


あまりの強さに自分は本当に委員長でいいのだろうかと悩んでしまう正人。

それを慰めるように光と星姫が両隣で肩をたたいている。

任務中のこの奇妙な光景に俊介は苦笑した。




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