プロローグ スベテノハジマリ
「はあ、はあ、はあ・・・・・」
自分の声も聞こえなくなるような豪雨の夜、少年は逃げていた。
幸いにも、この豪雨のおかげで足音も声もかき消されている。
決してあてがあって走っているわけではなかった。
-死にたくない-
その願いだけが少年の体を動かしていた。
いったいどれほどの時間を走り続けたのだろうか。
一時間、一分、一秒
迫りくる恐怖により時間の感覚さえ分からなくなってきていた。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
つい数十分前までは、大好きな家族とともにいつもと変わらず過ごしていた。
父と、母と、幸せな時間を過ごしていたのだ。
あの黒服の奴らが来るまでは。
突然、家の玄関が物凄い音を立て、吹っ飛んだ。
父はこのあたりでは一番の魔術師であり、国直轄の魔法防衛軍の小隊長だったので
一直線に玄関へ飛び出していった。
母は急いで少年をかつぎあげ二階の部屋に逃げ込んだ。
9歳の少年にはいったい何がおこったのかわからなく、
母に聞いても「私達がぜったいに守るから、大丈夫よ」としか言わない。
母がそういうなら大丈夫というなら大丈夫なのだろうと納得しようとしたとき、
「我らはロミスオンだ!」
その声を聞いたときの母の顔は頭から離れない。
恐怖と絶望が入り混じったような顔をしていた。
それを聞いた後の母は少年に話すひまさえ与えないほど素早くを自らの血で
魔法陣を書き、何らかの呪文を唱えはじめる。
すると、少年の足元にも同じ模様の魔法陣が現れ激しい光を放つ。
「いったい何がおこってるの!?」
ついに耐え切れず少年は母に問いかけた。
少し寂しそうな表情をしたが、すぐに微笑み
「これからあなたはつらい人生をいくことになるかもしれない。それでも、決して
下を向かず歩き続けなさい。」
と言い、自分のつけていた十字架のついたネックレスを少年に渡した。
その時、部屋の扉が黒服の男たちによって破られた。
「じゃあね、必ず逃げて生き延びなさい」
それが最後に聞いた母の言葉だった。
あの黒服の男たちはいったいなんだ
-ロミスオン-ってなんだ
そんなことを思いながら視界は真っ白に染められていった。
「ここは、外なのか」
さっきの魔法陣は移転魔法のものだったらしく、家の近くの公園に移転されていた。
しばらくの間呆然としていたが、すぐに走り出した。
母の言葉を思い出したからである。
少年の予想通りに遠くから「早くあのガキを捕まえろ」という声が聞こえてくる。
少年はひたすら逃げた。どこへ、わからない。ただひたすら遠くへ。
いったいこの先どうすればいいのか、わからない。何もわからない。
わかっていたのは逃げなければならない、それだけだった。
いきなりシリアスですいません。
どうも、どうも、カフェインと申します。
完走めざしてがんばります。