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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
3章 王都
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85 戦神の試練

「トレイシーさん、すまねぇが明日じゃないと揃いそうにない。誰でもいいって言うんなら、今すぐでも集められるが……」


「ええ、明日で構いませんよ。急なお願いでしたからね。ああ、それと、一泊お世話になりますわ」


あまりに当然のように言うので、マークは目を瞬いたが、快く了承した。


「ん?ああ、構わんとも!歓迎するさ!」




翌日、マークを含めた筋骨隆々の男たちが五人集まった。


「これで全員揃ったな!皆、信用の置ける者たちだ!口は堅い!!」




「私たちは目立ちたくないから、あなたたちが前を歩いてくださるかしら?」


「任せたまえ!」


トレイシーの頼みを安請け合いをするマーク。


暑苦しい連中を隠れ蓑にして、一行は戦神の試練へと向かう。


巨剣の下には、石碑があるだけで入り口らしきものは見当たらない。


「あれ?入口どこだ?」


初めて来るアヤが疑問の声を上げるとトレイシーが答える。


「あの石碑に書いてあるけど、戦神の試練を受けたい、そう念じるとダンジョンに入れるわ」


「へぇー、そういう仕組か」


アヤは石碑を覗き込み、そこには確かに「戦神の試練」と名を冠した文言と、入り方が記されているのを見つけた。


言われた通りに巨剣に触れて念じると、世界が歪み、転移した。




「おお!ここが戦神の試練か!広ぇな!」


転移した先には森が広がり、青空も見える。ダンジョンの中とは思えないほど自然だ。

目の前にはまた石碑があり、試練の内容が書かれていた。


「第一の試練、ゴブリンを殲滅せよ。なるほどな。この試練を突破していくと先に進めるのか」


「ええ。でも……今回はやらないわ」


「……やらないのか!?」


ダンジョン初挑戦に胸を躍らせていたアヤは、露骨に肩を落とす。


「ええ、ここで儀式をするの」


「おお!」「早くも戦神様を召喚するのか!!」


アヤとは反対に、戦神教の者たちは興奮していた。


「私は儀式の準備をするから、あなたたちは近づくモンスターの相手をお願いね」


「承った!!」


マークたちは周囲へ散り、武器を構えて森の気配を探る。


「アヤ兄!しっかり守ってね♪」


「任せろ!」


リマの頼み(命令)に、アヤが元気を取り戻す。


トレイシーとリマは持参した魔道具を並べ、地面に複雑な紋様を描いていく。やがて中心に魔法陣が浮かび上がり、淡い光を放ち始める。


しばらくして、森の奥からガサガサと茂みが揺れ、低い唸り声が響く。


「……来るぞ!」


マークが短く叫んだ。


「グルルルルゥ!」


姿を現したのはウルフ。だが普段と違い、目は血走り、涎を垂らしている。


「いつもと様子が違うぞ!」


まるで何かに吸い寄せられるように、次々と飛び出してきて、一斉に突撃してきた。


「言い忘れてましたね。この魔法陣がモンスターたちを呼び寄せてしまっているのです」


「それを先に教えて欲しかった!!」


「問題ないでしょ?第一層にいるモンスター程度」


「問題!ない!!」


叫びながらも、マークたちは豪快に武器を振るい、ウルフを次々となぎ払っていく。


だがその直後――


「まだ来るぞ!」


森の影から、次なる魔物の群れが姿を現す。ウルフの他にゴブリン、ジャイアントバット、スライム。小型だが数が多い。


「おっさんたち、休んでいいぞ!ここからは俺がやる!」


アヤが一歩前へ出て、刀を抜いた。


「何を言う!まだまだ元気だ!休憩など必要ない!!」


熱血の雄叫びとともに、マークたちが再び突撃する。


アヤとマークたちは、押し寄せるモンスターの大群を相手取り、戦いの渦へと飛び込んでいった。

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