表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
3章 王都
87/92

83 日常と巨剣

「ご機嫌ね、ピエロ」


トレイシーが横目で問いかける。


「はいとてもたのし~~いですからね~~」


「それは何よりね。でも、ここに戻ってくるのやめて貰えるかしら。足がついたら、どうしてくれんのよ!!」


「おお~~こわ~~い」


突如声を荒げるいつものトレイシーに、大げさに反応するピエロ。


「はぁ……不安だわ。……あなた、私を殴って」


「へ、へい」


トレイシーはため息まじりに、最近のお気に入りの大男に殴ってもらう。


「ああん!」


ごつい拳が振るわれ、トレイシーは頬を歪ませながら快感に震えた。


その様子を、ピエロは羨ましげに凝視する。


「ん~~トレイシー、僕チンが殴っても?」


「ダメだ。ピエロ、俺と戦え。リマ、いいよな?」


アヤがピエロの前に立ち塞がり戦いかがる。精神支配されているアヤはリマからの許可を求めた。


「うん♪いいよアヤ兄♪」


リマはにこにこと頷き、茶菓子を口に運ぶ。


「遊んでくれるんですか~~?」


ピエロはナイフを指の間でくるくると回し、アヤと対峙した。


しばらくして、トレイシーの手下の男がその部屋に入ってきた。


「姉御、準備が――」


がちゃりと扉を開けて立ち止まる。


「痛いっ!痛いわ!もっと殴って!!」


トレイシーの嬌声が響き、


「はぁーはっはっはっ!なんだそれは!!俺にも教えろ!!」


アヤが悪魔みたいに笑いながら切り刻まれ、


「よ~~く見ててくださ~い。こうするんですよぉ~~」


ピエロはナイフを振り回す。


その横でリマは、平然と座ってお茶菓子をつまんでいる。


部屋の中は、混沌としていた。これが、ここ最近の彼らの日常である。




「ん~~っ! 久しぶりに外へ出られたな!」


王都の外へ踏み出すや、アヤは大きく伸びをした。

先ほどピエロに切り刻まれた傷は、綺麗さっぱり治っている。

ここ数日は隠れ家で待機するばかりで、退屈を持て余していたのだ。


「仕方ないでしょ? あなたが出歩いては困るんだから」


横目で釘を刺すトレイシーの痣も完治して、元の美しい素顔に戻っている。


「よかったね、アヤ兄♪」


リマが屈託なく笑う。


「ああ! 戦神の試練、楽しみだな!!」


アヤの瞳がきらりと光る。


こうして三人は、ダンジョン《戦神の試練》を目指して歩を進める。


王都を離れておよそ一時間。

草原を抜けた先、彼らの視界には大地に突き立つ一本の巨剣だった。


天を衝くその剣は、近づけば近づくほど威圧感を放ち、王都からでも見えるほどの巨大さを誇っている。


「見えてたからわかってたけど……間近で見ると迫力が違うなぁ」


思わず立ち止まり、アヤは剣を見上げる。


「ほんとにでっかいねぇ~」


リマも同じく見上げて答える。


「まずは戦神教の連中に会うわよ」


トレイシーが促した先、剣の根元にはいくつかの建物が並んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ