表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
3章 王都
72/92

68 リオネルからの知らせ②

「それで、アヤが連れ去られたってどこに?その少女がアヤの妹なのは本当?」


レオが話を戻すように問いかける。


「それが、空間転移で逃げられたのでどこにいるのかは、わかりません」


「空間転移……」


レオが低くつぶやく。


「高度な魔法だ。扱える者は限られる」


クロノアが険しい表情を浮かべる。


「空間転移もしっかり調べれば、どこに行ったのかわかるはず……そうでしたよね?」


セラフィーヌがナズ騎士団長へ視線を送る。


「はい。転移先の特定は可能です」


「それなら追うことができますね」


セラフィーヌの声音には安堵がにじんでいた。


リオネルは、もう一つの疑問に答えるように続ける。


「それと、妹かどうかはわかりませんが、その少女はウルトを使い、アヤを精神支配したようなのです」


「ウルト?」


「??」


レオは目を細め、メルは首を傾げる。


「ウルトはスキルと魔法合わせた究極の力のことだ」


クロノアがレオとメルに説明する。


「ウルトによる精神支配は、ウルトで解くしかありません。……もしくはウルトを使った本人を説得することくらいです」


リオネルはアヤを解放する方法を伝える。


「ウルトか説得するか……か」


レオの表情はさらに険しくなった。


「アヤは無事、なんだよね?」


メルの小さな問いかけに、セラフィーヌが柔らかく応じた。


「メル、この王宮には国一番と名高い占い師がいます。占っていただいたところ……アヤさんはご無事とのことでした」


にこりと微笑んで告げる声に、メルの胸がふっと軽くなる。


「……よかった」


その安堵の吐息に、レオが二人へ視線を向ける。


「つまり、あなたたちはもう知っていたのですね」


「ああ。昨日知ったばかりだ」


クロノアが短く答え、そして言葉を重ねるときには表情を引き締めていた。


「ただし、占いで分かったのは安否だけだ。アヤの居場所までは掴めなかった」


言葉の余韻ののち、彼は真っ直ぐに二人を見据える。


「レオ、メル――アヤを助けたいのなら、ウルトを身に付けるしかない。それも、精神支配を打ち破る類のものをだ」


ウルトを修めることの難しさは、レオにはまだ想像の域に過ぎない。だが、決して容易ではないことだけは分かる。

時間がかかる。その間にアヤの身に何か起こらぬ保証はない。

けれど、当てもなく探しに出るよりは確かな道――。


レオは静かに頷いた。


「……うん。そうだね」


「ウルトを覚えればいいんだね。わたし、がんばる!」


メルは小さな拳をぎゅっと握りしめ、瞳に決意の光を宿した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ