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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
2章 カリオンの街
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59 無邪気な少女

ノーラは剣を一閃、絡みつく魔法の鎖を断ち切った。


「あまり、騎士を舐めないで貰おうか」


「あれ?結構魔力込めたんだけどなぁ~」


少女の声音には驚きよりも楽しげな響きがあった。


「《ノック》」


アヤは溜めていた力を、操られた騎士へ叩き込む。

敵の精神支配する力を《ノック》で押し出した。


「すまない、助かった」


「上手くいって良かった」


アヤはこういう時のために対策はしていた。

うまくいくと信じていたが、成功を確かめて胸を撫で下ろす。


「あれ?そっちも解けちゃったの?へぇ~、君のスキル面白いね♪」


その無邪気な声に、アヤは視線を鋭くした。


「お前は、その力でエルフを誘拐したな。なんでだ?」


少女は唐突の質問に首を傾げて答える。


「え?だって簡単に大金稼げるんだよ」


悪びれもせず答える声に、アヤは眉をひそめる。


「誰がそんなことを言ったんだ……」


「パパだよお♪」


(どうやらこの子を利用した黒幕がいるみたいだな)


「そんな簡単に稼げないぞ。実際にエルフたちは俺たちが解放した」


「えー、そーなの?」


リマは目を丸くする。


「パパっていうのは誰だ」


「パパは、えっとすごい人!」


「……そうか、色々話を聞きたい。付いて来てくれ」


「それはダメだよぉ。ここでパパと待ち合わせしてるんだから」


「へぇー、それじゃあここで話をするか」


「お話より遊ぼうよ♪」


「いいだろう。その前に彼らを解放してほしい」


アヤは黒幕のパパが来るまでの時間潰し、そう思い了承し、騎士たちの解放を要求した。


「えー、邪魔されたら嫌だ」


「邪魔はさせない」


「んー……そうだ!君が勝ったら解放してあげるよ♪」


「言ったな。いいだろう。俺が勝ったら解放しろ」


敵が提示する条件にアヤは即答してしまう。


「うん」


「俺はアヤ、お前は?」


「アヤだね♪私はリマだよ!」


「それじゃあ、行くぞ!リマ!」


アヤとリマの、遊びと称した戦いが始まった。


解放された騎士が、ノーラの傍へと歩み寄る。


「どういたしますか?」


ノーラは小さく息を吐いた。


「アヤが条件を了承してしまった。もう鎖は斬れないでしょう」


(私があの子と話すべきでした)


ノーラはアヤに会話を任せてしまったことに後悔する。


「口約束とはいえ、契約魔法の一種ですからね。拘束は強まり、無理に破れば術者を強化してしまう」


「そういうことです。アヤに託すしかありません。幸い、お相手の力は非殺傷。洗脳と拘束です。危険度は低い。私たちは、彼女が言ったパパとやらに、備えますよ」


「はっ――承知しました」

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