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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
2章 カリオンの街
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57 エルディアへ

騎士たちの人選が終わり、六人の騎士たちがカイザの元へと集う。


「揃ったな。では向かうぞ」


カイザが号令をかけると、一人の女性騎士が前に出て口を開く。


「カイザ殿、向かう前に一つよろしいでしょうか」


「む?なんだ」


「カイザ殿とアヤ殿はあくまで、協力者です。犯人確保の指揮権は、今回隊長を任命された私、ノーラにあります」


「ふっ、そうだな」


「……申し訳ございません。カイザ殿」


「謝る必要はない。お互いに立場というものがあるからな」


「……感謝いたします。それでは、全員――エルディアへ!」


一行はエルディアへと走り出した。


その道すがら、ノーラがアヤに声をかける。


「アヤくん」


「ん?」


「あまり無茶はしないでね。メルちゃんを悲しませちゃダメだからね」


アヤが目を瞬かせる。


「メルのこと知ってるのか?」


ノーラは小さく頷き、前を見据えたまま言葉を続けた。


「君は覚えてないだろうけど、レオくんとメルちゃんを王都まで護衛するために、エルナの町の孤児院まで迎えに行った騎士の一人よ」


「そうだったのか」


「ええ、魔族に襲撃されて、レオくんとメルちゃんの力のおかげでなんとかなったけど、護衛対象に戦わてしまった。護衛失格ね」


その声音には、今もなお拭えない悔恨が滲んでいた。


「ん?メルも戦ったのか?」


アヤからの疑問に、ノーラはあの日のことを思い出す。


「……ええ、といっても、メルちゃんが何をしたのか、よくわかってないのだけれど」


「よくわかってない?」


「止まれ!」


カイザの鋭い声が響き、一行の足が止まる。


ノーラが身を翻して問う。


「どうしましたか?」


「エルディアに人影を確認した。一人のようだ」


「人影って、この距離で、ですか?」


まだ町影すら見えぬ街道。ノーラは信じられない思いで聞く。


「うむ。街の中心部におる。儂は上空へ飛び、監視する。何かあれば知らせよう。それでよろしいか?隊長殿」


「……わかりました。お願いします」


カイザは地を蹴ったかと思うと、軽々と空へ舞い上がる。

そのまま風に溶けるように姿を霞ませ、上空のどこかに消えた。


それを見送ったノーラが小さく息を吐く。


「斥候を出す必要がなくなりましたね……」


彼女は気を引き締め直し、振り返って声を張った。


「私たちはこのまま進み、街に入ります。そこから二手に分かれて挟み込みます――行きますよ!」


アヤと騎士たちが一斉に頷き、走り出す。

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