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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
1章 プロローグ
6/70

6 初依頼①

「…あれ? 護衛依頼、受けられるじゃん。」


冒険者ギルドカードを受け取ったアヤは、さっそく自身が受けられる依頼を確認している。


「護衛補佐だ、少年。

護衛依頼を受けたCランク以上の冒険者のサポート――まあ、つまり雑用係だな。」


後ろからついてきたジャンが、ぽつりと説明を入れる。

ガロスから、アヤの面倒を見るように言われているらしい。


「Cランクへの昇級を目指すなら、護衛補佐は何度か経験しておいたほうがいい。

……それより、少年はパーティには入らないのか?」


「一人でやるよ。」


(パーティを組むなら、あの二人がいいからな。)


「お。古代遺跡ダンジョンのモンスター討伐に……調査支援もあるな。面白そうだ!」


“ダンジョン”――その言葉だけで、アヤのテンションが上がる。

しかも古代遺跡。ロマンの塊だ。


「あぁ、この町で唯一のダンジョンなんだが、探索し尽くされてて、ほとんど価値のないダンジョンさ。」


「え。」


「遺跡としての歴史的価値も薄いらしい。」


「そうなのか……」


アヤの上がったテンションは急降下。ロマンもどこかへ行ってしまった。


「ん? でも調査支援の依頼、あるよ?」


「それは、遺跡に興味を持ってる学者個人の依頼だな。」


「へー……もしかして、この報酬って安い?」


アヤは、他の依頼の報酬額と見比べていると、明らかにその調査支援は安く感じられた。


「ああ、激安だ。」


(安いのか。……でも古代遺跡ダンジョンは、やっぱり気になる。モンスター討伐でもダンジョンにはいけるけど、調査支援のが面白そうな話とか聞けそうだな。)


「んーー、よし! この依頼、受ける!」


「まあ、古代遺跡ダンジョンって聞いて、気にならない冒険者はいないよな。」


「決まったなら、その依頼票を受付に持っていけ。受領されたら、依頼主のところに行くぞ。」


「うん!」


テンションが上がりすぎて、いつもかっこつけているアヤの、素である子供っぽい部分が出てしまっていた。


◇ ◇ ◇


「はーい、依頼ですねー。

それじゃあ、ジャンさん、ギルドカード出してください。」


「エミリ。俺じゃなく、少年の依頼だ。」


「もう、冗談ですよ。

それに“少年”じゃなくて、“アヤくん”でしょ。

アヤくん、依頼票と一緒にギルドカードも出すんだよ?

ジャンさんは、ちゃんと教えてあげてくださいね?」


「わかったわかった。」


「返事は一回でいいんですよ。まったく。」


(……このギルド、もしかしてエミリさんがトップなんじゃ?)


さっき発行されたばかりのギルドカードを渡しながら、

そんな邪推をしてしまうほどに、この人は強いと感じたアヤ。

こういう強さもあるのか、と感心してしまう。


「それじゃ、ちょっと待っててね。えーっと……はい、これで受領できたよ。

依頼、頑張ってね!」


アヤとジャンはギルドを出て、依頼主の元へ向かった。


「まったく、新人の教育はどうなってる。」


「?」


「ああ、エミリは新人の受付嬢なんだよ。」


「え?」


(新…人…?)


――今日一番の驚きであった。

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