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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
2章 カリオンの街
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48 不穏

「はぁ、結局ボロ服のままだな」


歩きながら、カイザが半眼でアヤの服を見やる。


「いいだろ別に」


アヤは気にも留めず、肩をすくめた。


「いい訳なかろう?武器にも効果や相性があるように、服にもあるんだ」


「あぁ、そっか。ま、今度買うさ」


軽く答えるアヤに、カイザは小さく鼻を鳴らす。


「……アヤ、お主先ほど刀を初めて見て、あれができたであろう?」


カイザは試し斬りをしたアヤの動きを思い出して話し出す。


(これは、疑われているか?)


アヤは視線を逸らし、前を見て短く相槌を打つ。


「……うん」


「もしかしてお主、初めての武器でも巧く操る能力(スキル)を持っているんじゃないか?」


その問いに、アヤは内心で安堵する。


「そういうスキルもあるのか」


「あぁ、生まれ持った才能による能力を持っている者もいる。鍛え上げた技とはまた別の力だな」


「へぇー、なるほどね」


やがて二人は正門前に差し掛かった。


門の前は、鎧姿の騎士たちが慌ただしく行き交い、緊張感のある空気に包まれている。


「騒がしいな」


アヤが辺りを見回すと、カイザが近くの騎士に声をかけた。


「何があった」


「カイザさんですか。いえ、ゴブリンの目撃情報があり、捜索及び討伐隊です」


騎士は、カイザの顔を知っているらしく、敬意を込めて答える。


「またか。最近多いな」


「はい。原因の調査もする予定です」


「目撃情報はどっちだ?」


「北側です」


「そうか。わかった。儂らは南側で狩りをしよう」


「助かります。お気をつけて」


騎士に軽くうなずき、カイザは街の外へと歩き出す。


「手伝わなくていいの?」


アヤが横目で問うと、カイザは淡々と答えた。


「王国騎士団の仕事だ。協力要請があった訳ではない。それにたかがゴブリンだ。儂がわざわざ出向く必要はあるまい」


「ふーん。そういうもんなのか」


「そういうものだ。行くぞ」


城門を離れながら、アヤは先ほど集結していた騎士の数を思い出して首をひねった。


「それにしても、そのたかがゴブリンに対しての人数多かったな」


「最悪の場合も想定した人数であろう」


「最悪の場合って?」


「魔族が絡んでいる可能性だ」


アヤは眉を上げ、すぐに口を開いた。


「ん?それならカイザさんも行った方がいいんじゃ?」


「儂はあくまで保険だ。基本的には現役の者たちが対処した方が良い」


「なるほどな」


アヤは小さく頷き、カイザの後をついて行く。

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