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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
1章 プロローグ
4/66

4 冒険者登録①

別れの日――


まだ陽も高くない早朝、俺たちは孤児院の前で最後の別れを交わしていた。


「う、ううぅ……アヤぁ……!」


メルが顔をくしゃくしゃにして泣いている。声も、涙も、抑えが効かなくなっていた。


「そんなに泣くなよ。どうせまた会えるんだしさ。約束したろ?」


「……うん。」


「約束忘れないでね!」


メルは涙の中で必死に言った。


俺は涙を堪えつつ頷き、手を差し出した。


「――あぁ、もちろんだ。」


ちいさな手と手が、ぎゅっと結ばれた。


「レオ、次会うときはとっておきを見せてやる」


「それ、まだ未完成のやつでしょ?」


「次会うときにはできてる」


「楽しみにしてるよ」


「メルを頼んだぞ。またな」


「任せて。アヤにルセリア様のお導きがありますように」


そう言って、二人は馬車へと乗り込んだ。だんだんと遠ざかっていくのをアヤは黙って眺めていた。


馬車が見えなくなると、アヤは歩き出す。


涙を拭い、孤児院を出て、目指すは、町の冒険者ギルド。


七歳の子供でも、加護の儀を終えた者なら簡易登録が可能だ。子供でもできる雑用仕事があるらしい。


ギルドの扉を開けると、朝の陽射しが差し込む中、カウンターの奥で女性職員と目が合い、元気はつらつに話し始める。


「エルナ冒険者ギルドへようこそ!冒険者登録?それとも依頼かな?」


「冒険者登録をしにきた。」


「冒険者登録ね。それじゃあこの書類に記入してほしいんだけど、文字は書ける?」


「書けるよ。」


「えらいね~。それじゃあお願い。」


手渡された書類とペンを受け取り、俺は静かに書き始めた。読み書きは孤児院で教わったので問題なく書き終える。


「……はい。」


職員がそれを受け取り、目を通しながら微笑んだ。


「うん。全部書けてる。えっと次は、この水晶に手を置いて質問をするから、はいって答えてね。」


アヤは言われるがままに出された水晶に手を置いた。


「書いた内容に噓偽りはありませんか。」


「はい。」


言われたとおりに答えると水晶が白く光る。


「白いから大丈夫だね。それじゃあこの後簡単な試験するから訓練場で待ってて。」


「わかった。」


水晶が反応した時、アヤは変に焦ったが、特に問題なくてほっとしていた。


訓練場に向かい、しばらく待ってると、やってきたのは、浅黒い肌に鋭い眼光を宿した男だ。


「この子が新人か?」


受付の女性が頷く。


「はい、ジャンさん。試験お願いしますね。」


「了解。」


男は無骨に頷くと、アヤの前に立ち、顎を軽くしゃくった。


「俺が試験官のジャンだ。試験といっても難しいもんじゃない。一つ目は単純だ。あそこにある壁を攻撃してみな。」


視線の先には、白い壁があった。魔法陣の紋様がうっすらと浮かんでいる。


「武器は自由に使っていい。……といっても、何も持ってないようだな。貸そうか?」


「いや、いらない。」


アヤは小さく首を振った。


ジャンは眉を上げてから、肩をすくめた。


「そうか。なら好きにやってみな。ちなみにこの壁、攻撃を受けると色が変わる仕組みになってる。その色で、君の攻撃力が判定できる。」


アヤは壁に目を向ける。


「この壁、壊れても問題ないの?」


その言葉に、ジャンが一拍置いてから吹き出した。


「壁を壊す?はっはっは! そんなことができるのは、Sランクレベルだ。まぁ安心しな。自動修復の魔法がかかってる。壊せるもんなら、壊してみな。」


アヤは静かに構えを取った。


「わかった。」


「ノック」


次の瞬間、轟音と共に壁は壊れた。

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