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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
2章 カリオンの街
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29 ユニークスキル

「オホン! それよりアヤ、君が魔族を退けたと聞いたが……ユニークスキルを使えるのかね?」


「ユニークスキル?」


「む? 知らんのか……。スキルについては理解しているかね?」


アヤは、自身が使う《ノック》を思い出す。


「ん~、魂の力……みたいな?」


「ふむ、それもスキルの一種だな。アヤ、君が言う魂の力のほかにも、エルフやドワーフ、獣人など、種族ごとに特有の力がある。そして、神の加護による力も含めて、この世界には魔力とは異なる、さまざまな力が存在する。」


話の途中で扉が開き、エミリが部屋に入ってきたのを一瞥して、カイザは続きを話す。


「だが、それらはあまりにも種類が多く、名称も地域や種族によってバラバラだった。そこで、アメリオ王国の初代王にして、魔術を創りだした大賢者アルケインは、それらすべてをひとまとめに『スキル』と定義したのだ」


「へぇー」


話の切れ目でエミリは、机に飲み物を置いた。


「はい、お茶です。こっちはアヤくんの分のジュース。それと……お爺ちゃん、子供に長話したら嫌われますよ?」


エミリのひとことに、カイザは苦い顔をし、ジャンは頬を引きつらし、アヤは面白がる。


「……うむ、気をつけよう」


カイザは少し咳払いし、姿勢を正す。エミリはその背後に立ったまま微笑んでいる。


「それで? ユニークスキルって?」


アヤが話を戻すと、カイザはちらりとエミリを気にしながら答えた。


「あー、ユニークスキルってのは……強力なスキルのことだ」


(え、説明それだけ?!エミリさんの言ったこと、すげぇ気にしてる!)


あまりにざっくりとした説明に、アヤは思わず笑いそうになる。


「それじゃ、さすがにわからねぇよ」


カイザは難しい顔をしながら、ゆっくりと話す。


「む。……先ほど説明した。その、色んな力を組み合わせ、普通のスキルとは一線を画すほどの、強力で特別なスキル……これでわかるか?」


アヤはその説明で、なんとなく理解した。


「……なるほど。あの魔族に放った、最後のスキル……《ノヴァ》。あれは――もしかしたら、そのユニークスキルってやつかもしれない」


それを聞いたカイザは、興味深そうに、相槌を打つ。


「ほう?」


「今は使えないんだ。……なんであの時は使えて、今は使えないのか。わからなかったけど…今の話を聞いて、なんとなく……わかった気がする」


いつも《ノック》で使っている力。さっきは魂の力と言ったが、もしかしたらそれすら、違うのかもしれない。


この世界には、アヤの知らない不可思議な力――未知の力が、まだまだたくさんある。


「今は使えない、か。魔族を退けるほどの力、やはりユニークスキルの可能性が高い。それにしても驚異的だな。ユニークスキルとは研鑽を重ねた一部の者のみが辿り着ける領域。扱いが難しくて使えない時があるのも当然ある。それをわずか七歳で手をかけるとは、歴史上初めてかもしれんぞ?」


「お爺ちゃん、あまり興奮しないでください」


エミリのひとことで、興奮し語っていたカイザの肩が落ちる。

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