表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
2章 カリオンの街
23/92

20 再会②

「……ぐすっ。メルちゃんよかったですねぇ……恋人と親友の、感動の再会……ですぅ……うぅ……」


エミリが感極まったように目を潤ませ、手を合わせている。


「エミリ、変な声出さないでおくれ」


呆れたように眉をひそめるオリサ。


「オリサさんは冷たいですねぇ……あの三人の絆は、涙なしには語れませんよ……!」


「私は、あんたに呆れてるんだよ。はぁ……。もう行くよ。あんたも、さっさと仕事に戻んな」


ため息をひとつ吐き、オリサは踵を返す。


「いってらっしゃーい。ちゃんと三人を見守っておきますねぇ!」


手を振りながら、エミリはしれっと答える。


「エミリさんは相変わらずだな」


アヤがため息まじりに言うと、落ち着いてきたメルが呼びかける。


「アヤ」


「ん?」


チュ


「~~!!」


メルはアヤのほっぺにキスをして、涙を拭ったあとは、輝くような綺麗な笑顔を浮かべた。


それを見ていたエミリは声にならない声を発する。


「私たちもそろそろ行くね。アヤはまだ休んでないとダメだよ。」


「う、うん」


アヤは突然のことに目を白黒させて、まともな返事ができなかった。


メルとレオが出て行った後に心臓の音が大きくなり、顔が熱くなっていく。


「青春!ですねぇ」


にやにやするエミリにアヤは、赤らめた顔のまま、睨みつけた。




病室を出たレオとメルは、静かな廊下を歩き、礼拝堂の入り口で神父に頭を下げた。


「さっきは、急いじゃって……すいません」


「すいません」


レオが恐縮したように言うと、メルがそれに続いた。年配の司教は目尻に皺を寄せて、にこやかに首を振った。


「いいえ、謝ることではありませんよ。大切なお友達が目を覚ましたのですから。それは、神に感謝すべき出来事です」


「はい。光の女神ルセリア様に感謝の祈りを捧げます」


レオは目を閉じて静かに胸元に手を当てて、短く祈りを捧げる。

メルはその様子を見て少しきょとんとしたが、すぐに困ったように笑って、レオを真似て祈った。


「……えっと、神に感謝します」


そのやりとりも、司教はすっかり見慣れていたようで、目を細めてほほえましく見守っていた。


「司教様、今日はお手伝いできること、ありますか?」


レオが祈りを終えて顔を上げ、いつものように尋ねる。ここ最近、レオとメルは治療の手伝いなど、できることを進んで引き受けていた。


四日前――


魔族の襲撃から始まり、エルナの町が炎に包まれたという報せ。


教会にアヤが運ばれた時はひどい状態だった。

命こそ繋ぎとめたものの、意識は戻らず、眠ったままのアヤを見ると、気が気じゃなかった。


それでも今は、アヤが目覚めてくれて、ようやく、心が静かに息をつきはじめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ