17 とっておきの戦い
「この……! やってくれるっ!」
「……!!」
攻撃は当たった。確かな手応え。
だが――威力が、足りなかった。ノック・スピアでも、致命傷に至らなかった。
だが、無駄ではない。そう言うかのように、煙の中から――巨体が現れる。
「《雷墜》!!」
ズゴォォンッ!!
雷鳴の如き轟音と共に、ガロスの斧が、バラガンの肩へ――!
しかし
「ぬぅっ!」
斧は肩に食い込んではいたが、バラガンの手によって、止まってしまった。
「この程度で……! 殺せると思ったかッ!!」
怒声とともに、バラガンの目が赤く煌めく。
「《フレア》」
――瞬間、爆ぜる閃光。視界が一気に白に染まった。
「ぐっ……!」
アヤは目を瞑る間もなく、光の奔流に呑まれた。
直後。
ズドォォォォン!!!!!!
爆発が吹き荒れ、周囲をなぎ払う。
バラガンの周囲は瓦礫と炎の海と化した。
「フッハハハハハハッ!!」
笑い声が響く。
その中心に、満足げなバラガンが立つ。
だが――その中で、立ち上がる者がいた。
「……っ……は、ぁ……」
ボロボロの体で、アヤがよろめきながら立ち上がった。
「ん……? まだ、生きているのか」
バラガンの声に、驚きが混じる。
「貴様は一体…?」
「ま……だ……」
立ち上がったアヤの意識はまるで感じられない。
「いや……貴様も、何らかの加護持ちか」
バラガンはそう結論付けて、ゆっくりとアヤに近づく。
「とはいえ、その命も風前の灯火……今、楽にしてやろう」
アヤは、近づいてくるバラガンを見つめ、手を握り締める。
渾身の力を込めて、拳を振り抜いた。
――パスッ。
軽い、音が鳴った。
「なんだこれは……」
あざけるように鼻で笑うバラガン。
「……《ノヴァ》」
直後――
ドゴォォォォォォン!!!!!
閃光と爆音。
純粋な力の爆発が、一直線に炸裂した。
白銀の閃光が、音もなく空気を引き裂く。
爆風がバラガンを吹き飛ばした。
「……がっ……!?」
地面を抉りながら転がるその姿を見て、アヤは――崩れるように膝をついた。
(とっておき……できた…ぞ……レオ…)
そして、静かに意識が――闇に沈んだ。
第1章、次でラストです。




