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トリニティ・ゼロ  作者: 人未満
1章 プロローグ
13/92

13 メルの戦い?②

「残念ね。」


どこからともなく――静かな女の声が、誰もいないはずのこの場に響く。


「貴様……何者だ!!」


「あなたが攻撃しようとした者よ。」


それを聞いたバスクは、これが最悪の状況に追い込まれていることを悟った。


「くっ……! これは……なんだ!?」


「あら? わからないの? 幻術魔法デセプションあなたは――幻に囚われているのよ」


「フン! 敵に手の内を明かすとは愚かなり! 幻だと? ならば、この辺り一帯ごと――破壊すればいいだけだ!!」


バスクは吐き捨てるように言い放ち、鋭い目で周囲を見回す。


「それは無理ね。」


「なに……!?」


「だって――あなたはもう、死んでいるから」



「何をしてやがル!??」


叫んだのはガランだった。

理解を超えた光景に、彼も混乱していた。


それは、レオも騎士たちも同じだった。


バスクが、突如召喚した巨大な剣とともに――

自らが操っていたすべての武器を、バスク自身に浴びせたのだ。


誰にも、何が起きたのか分からなかった。

バスクは馬車を攻撃したつもりで、自らを貫き、

そのうえ、自分が死んだことにすら気づいていなかった。


それほどまでに恐ろしく、強力な幻術魔法が――メルの魔力暴走によって発動していたのだ。

そして、それに気づく者は、一人としていなかった。


魔力暴走をしたメルは、魔力が尽きたのか、馬車の中で眠るように気絶していた。


理解はできなかったがバスクは死んだ。これで大勢は決した。

残るは、ガラン――そして数体のガーゴイルだけ。


 


「クク……ククク……ヒャァーハッハッハ!!」


突然、ガランが狂ったように笑い出した。

その笑いは、あまりにも異様だった。


目は見開かれ、焦点が合っていない。

口元だけが引きつったように動き、空気を切り裂くような嗤いを響かせる。


そして、血塗れのまま――レオに向かって突撃してきた。


だがその動きは、明らかにおかしかった。

重心も、歩幅も、感情もない。まるで“誰か”に引かれているような――操られた人形のような動きだった。


「っ……来るぞ!!」


レオが構える。その異常を察知し、騎士たちも加勢。

そして――一斉に刃を振るった。


その一撃が、ガランの胸を貫く。


だが――ガランは、最後まで笑っていた。


「オ前……勝っタつモリカ……?」


その口が、かすれた声で続ける。


「オ前ノ故郷のお友達……今頃、ドうナッテるダろうナァ……?」


「……なに……? 何をした!!」


レオが叫ぶ。だが、返ってきたのは――


「ア……ヒャ……ッハ……」


その意味を告げぬまま、ガランは――地に沈んだ。





「あーあ、加護の少年、殺せなかったねぇ~」


「そうですか」


「えー? 冷たーい! 」


「……あなたは相変わらず愚かですね」


「なにぃ!? どういう意味ぃ!?」


「目的は果たしました。彼の生死など、本来どうでもいいでしょう」


「あれ? そうだったっけ?」


「……はぁ。まったく、それに彼が勇者の器なら、あの程度で死にませんよ」


「うーん……そうなの?」


「やはり、能力以外は使い物になりませんね」


「むっ! そんなこと言う人には、こうだっ!」


「無駄ですよ。私には効きません。さぁ、さっさと済ませますよ」


「えっと、なにやるんだっけ?」


「今から説明します。このおバカさんに説明するので、もう少しお待ちください。オリサさん」

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