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2話


 豪勢なパーティー会場から少し離れて、夜風を浴びながら庭園に腰を落ちつかせた。

 

 目の前には噴水があり、魔法の力を使っているのか照らされていてとても美しい。


 水の流れる音を聞いていたら、ダルク様が真剣な青い瞳で私を見つめていた。


「今まで一目惚れなどという言葉は信じていなかった。だが、今は信じよう。君はこの場の誰よりも美しい」


 歯の浮くような言葉に私は硬直した。

 どう言葉を返せば良いのか分からずにいる。平常時であれば大丈夫なんだけど、こう、緊張してしまうと頭は真っ白になってしまう。

 

 私の前に、帝国皇太子である氷帝ダルクが跪いた。

 

「どうか私が求婚することを許してはくれないだろうか」

 

 このような急な話で、少しばかり驚きはしたが、私は無意識に手を伸ばし始めていた。


 あの戦場で、氷帝ダルクと剣を交えた時、私は思ってしまったのだ。

 このような強く芯のある優しい人が私の旦那様であれば、それは幸せなのではないかと。


 もしもこのようなお方と幸せになれたのなら……と。

 

 そして、私を好きだというダルク様の表情は赤らんでいて、嘘偽りは存在していないように感じた。


「喜んで」


 *


 あれから、べリア王子は国王陛下から激怒され、その地位を追われたそうだ。

 義妹であるアリシアは、べリア王子と共に国王陛下から罰を下された。


 二人仲良く暮らしている……のかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

 べリア王子はアリシアを裏切り、罪をすべて擦り付けようとしていたらしい。もちろんすべてバレて、意味もない行動になったが……なにやら『こんなはずじゃなかった』と叫んで、別々に暮らしているらしい。


 そんな噂を聞いただけで、実際にどうなっているかはこの目では見ていない。


 なぜなら私は今、マルスアッタ帝国にいるからだ。

 皇帝陛下からも婚約を認められ、正式にダルク・マルスアッタの妻となった。


 さらに、ベリア王子の国にいた名将たちも、私がこちらの国に来るということで何人かはお供を申し出てくれた。

 

 どうやら、私に仕えたいと忠誠を誓ってくれているようだ。


「ダルク様、私も何かお手伝いしますよ?」

「有難う。また今度頼むよ」


 優しく微笑んでくれる。

 もう、この人はいつもそう言ってさり気なく断ってくる。


 少し前までは氷帝ダルクと呼ばれていたが、その氷の部分は私と共にいることで次第に解け始め、今では優しい風貌で臣下たちにすごく慕われている。


「私もお手伝いしたいんです」

「だが、もう君一人の身体じゃないんだ。どうか、私の言うことを聞いておくれ」

「分かりました。では、私の言うことも聞いてください」

「なんだい?」


 今の環境はどれほど幸せか。

 それを語るにはこの場では足りないような気がした。


「もう一度、手を握ってはくれませんか?」


 戦場では剣を握っていた。

 だが今は、お互いの手を大事に、とても大事に握っていた。


【とても大事なお願い!】


 完結です


『幸せになって良かった!』

『面白かった!』

『お幸せに!』


そう思っていただけたら下にある星『★★★★★』と

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