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三話 分断と始まり

復帰したばかりなので、暖かい目で見ていてください。

そして2日経った。

早朝、クロド村を守備している兵からディル王国軍がぞろぞろと来ていると報告があり、数は大体1万以上らしい。

予想通りだ。

 俺は黒煙を出しながら、クリーム村で戦況の様子を見ることにした。



〜〜〜〜〜〜


「姫様」


「なんでしょう?」


ディル王国はジソ皇国を降伏させるためにジソ皇国の北側を占領する計画を立てていた。北側は敵の防衛線がなく簡単に侵攻できると考えていた。


「計画通り国境近くにあるクロド村、ソ村、クリーム村に対しては村人を殺さず人質するということですが、万が一抵抗してきた場合はどうしますか?」


総指揮官であるディル・イーデンロンヌリはまだ14歳でありながらも占領計画を提出した人物であり、第三王女ながらも次の王にすべきだと派閥ができていた。この戦いに勝利すればもっと派閥はでかくなるだろう。


しかし実際の戦争に参加することももちろん総指揮官になるのは初めてのことであった。いくら武術や計略を学んでいるとはいえ完璧ではない。


「この戦いはジソ皇国の東部戦線の一部が来る前に占領するのが計画です、つまりは早さが求められます。抵抗するなら殺す他ないでしょう」


「はっ」


(しかしなんでしょうこの違和感は?)


イーデンロンヌリは行軍していて軍隊の後方にいるがおかしな感じした。そして正体に気付いてきた。


「リール」


「なんでしょうか、姫様」


ノン・リール、私の補助をするために参戦している近衛兵だ、指揮官としても有能である。


「クロド村に向かう道を通るのに、こんなにも時間は要しました?」


前、偵察兵を派遣した時は道は狭くても1万の兵数であっても現在の行軍速度の2~3倍速くであると推測されていたはず。


「...直ちに確認します」


リールは行軍している中でもすぐに動き、偵察兵に聞く。そして急いで戻ってくる。焦っている。


「道が前回よりも狭くなっているとのことです」


「...なるほど」


一体誰がこんなことができるのか?偵察させたのは1週間前。よって1週間で道を狭くしたことになるがジソ・ダークは魔物を生成する力だから無理、するにしても兵士の数が必要になる、でも東部戦線でジソ皇国は兵士をだいぶ使っているはず、あとは皇都を守る予備戦力しかいないと予想されるが予備戦力が到着にかかる時間は最速でも1週間。ジソ皇国は1週間前に気付けるかというと無理に近い。そもそも計画のことを提出をしたのは偵察兵を出してからなのだから。

だから特殊な力でもなく兵士の人数でもないことがわかる。

一体どうやって?



ドンッ!グチュ


なにかが落ちた音と潰された音がする。

私は馬から降りて急いで兵士の間を通り向かうと、そこにあったのは巨石だった。巨石の下には血だまりができていた。


つまり巨石が落ちてきて兵士を押し殺し、道を閉ざしたことになる。しかも最悪ことに2千人と私がいる8千人は分断されてしまった。


すぐに2千人はクロド村に侵攻し、拠点に使えるようにと指示を出す。そしてクササ少佐に兵士2千人の臨時連隊長になってもらい、一時的に指揮権を与えた。先遣隊として頑張ってもらわないと。


「姫様、この狭い道によって巨石の撤去作業は至難であり、早くとも1週間と予想されます」


「わかりました、作業する者たちとそれを死守する者たち以外は野営地に戻ります」


私はそれだけを言って野営地に戻っていく。

この作戦を見直さないと。民からの信頼がなくなってしまう!





「大体2千人ほど分断できましたね」


私を含めた5名で巨石を落とした。計画通りに進めなくては、わが主様のために。


「では急いで戻りましょう」


クロド村に急いで向かった。

予定では1週間持てば上出来、2週間で最高。ならば1週間半耐えなければいけませんね。

いくら巨石によって混乱しているとはいえ、敵は2千でクロド村に向かってくるでしょう、それに兵数は私たちの2百倍ですか...殺し足りますかね?



私たちが戻ってくるがまだ敵の分断隊は到着していなかった。なので私は村人を装っている兵士と交代する。私のような殺人鬼は兵士として戦うよりも村人のフリをした方が戦いやすいのだから。

おっと敵が来たようです。

では始めますか。



~~~~~


分断に成功。あとはクロド村の耐久戦次第だ。だが思った以上に敵の総指揮官は悪くないな。でも時期のことは何も考えていないな、というか知らない感じがする。あと1ケ月もしたらこの地域は雪が降る。それで多少は時間を稼げるはずだ。

 初陣だから王国は兵数を増やし、その数は過剰ともいえる。雪降れば進行の速さが低下して補給もきつくなるはずだ。餓死といえずとも士気は低下するだろうな。

他にもディル・イーデンロンヌリは手柄を欲しがっている。望んでなくてもできあがった派閥と期待するディル王国の民によって。

それが狙いではある。決して敵が焦ってミスすることよりも戦いを継続させることが大事である。


「ベール、邪魔するぜ」


ヴィルディがやってきた。配置でいえばハ村なわけだが作戦実行時間までに戻れば問題ない。


「なんだ?」


戦況の確認はできれば常にしておきたいのだが。


「最期の言葉だ、ありがとう」


ヴィルディは頭を下げる。普段ではしないであろう真剣な顔をしていた。


「どうした?」


「…計画通りでいけば、俺はベールに会うのが最期なわけだろ?だから言いたいことを言いにきただけだ」


 珍しい。ヴィルディはこんなんじゃ…いやそうかこっちが本当のヴィルディか。


「なら少し練習相手をしてくれ、ヴィルディ」


俺は宿から出て行く。ヴィルディはニヤニヤしながらついてくる。


「はっ」


外に出て、俺は小太刀を異空間から取り出す。

ヴィルディは背負っていた大剣を取る。


「すぐに終わるなよ、ヴィルディ」


「ベールがな!」


その瞬間火花をあげる。

 ルドベールはヴィルディが護衛隊に移籍して以降、武術を教えてもらっていた。ヴィルディは大剣以外にも使え、武術の知識が深く、戦いにおいても経験していたため、かなり護衛隊を訓練させる時にも助かった。


最初はヴィルディが押しているように思えたが、


(どういうこった、ベール、本気になっていなくてこの強さか、才能は恐ろしいな)


ヴィルディはルドベールが本気でないことを見抜いていた。ルドベールもそのことはバレていると思っていた。


「…この戦いの敵の総指揮官はディル・イーデンロンヌリだ」


今までルドベールは護衛隊に伝えなかった情報を言った。


「まじか…よう勝てるわ」


ヴィルディはジソ皇国以外からも情報は得ており、イーデンロンヌリは希望の人物として注目されていることは知っていた。さらに英傑でもあったのだ。


「少しでも勝率を上げておきたいんだ、ヴィルディは総指揮官のお顔を拝みたいか?」


それはつまり総指揮官と戦えること。


「もちろん」


「なら総指揮官以外には倒せないようにしていいか?」


「もちろん」


その瞬間、ルドベールにスイッチが入る。


「うぉ!危な」


ヴィルディは防ぎながらも後ろに飛ぶ。


(これ、捌けないわ、負けだな、でもやるだけやってみますか)


ヴィルディはルドベールが言った発言の真意に勘付く。それはヴィルディは人間ではなくなることだ。イーデンロンヌリは治癒能力と魔物に対して特攻があるのだ。


つまりヴィルディは魔物になるということだった。


「ぐっ!」


ルドベールはヴィルディの背後をとって攻撃するが防いでいくが一方的にされているので限界がくる。


小太刀の刃がヴィルディの首に当てられる。


「降参だ」


「どうやら俺の方が強いみたいだ」


「…まぁ、そうだな」



ルドベールは小太刀を異空間に戻す。

ヴィルディからすると見慣れた光景ではあるが気になる。


「ベール、お前もしかして英雄か?」


ヴィルディはルドベールが明らかに無能と言われるほどの人物ではないと確信しており、また護衛隊の統制力は前いた部隊よりも高い。ルドベールは黒煙を出しているが5歳の時から煙管を使用しているのだ、普通はありえない。


「英雄だと言われれば、そうだなぁ…そうだと答えよう、でも他言はしないように」


「もちろんだ、しかしだ、いつかはバレるだろう?」


「必要な時に明かすまでだ」


「そうか、帰るわ」


ヴィルディはルドベールに背中を向けてハ村に戻って行った。


ベールのやつは本当に生意気だな。だからこそ頑張るか。







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