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焼けた森
着いたその日にシュンカは気付いた。
自分が何もしなくとも、燃えて倒れた木々の下からは、既に、新しい命が芽を出し始めている。 嬉しくて思わずふれたその草は、一瞬で伸びきり葉をふるわせた。
「――自分たちの力でこうして生えてくるなんて、すごいですね。おれの里跡でも、今はもうすっかり緑がもどってるって、この前、アキラさまに教えていただきました」
そう話すシュンカの手で触れても、普段なら花まで咲ききるだろう草は、それ以上伸びることはなかった。
天宮ではないから、草花の成長が違うのかと考えながら見回した景色に、絵師は息を詰めた。
――― これじゃあ・・あのときの、シュンカの里みたいだ・・・。
黒く炭となった木々と地面。
焼けた匂い。
これだけ木や草花が焼かれたのだ。しばらくは『澱んだ場』になるだろうし、この景色を目に入れたシュンカの『気』が、薄まったとしてもおかしくはないと、セイテツも考えていた。
だが、―― 。
ゆうべの坊主の言葉から、どうもこの『黒森』じたいがすこしおかしい、とようやく感じ始めていた。