なきやむ
「・・・確かに、油断してたおれが悪い。だから、おまえなんかに刺されちまうし、――」
またしても、そういう方向にいきそうな言葉を拾い、下がった足をとめた。
「――その、・・なんだか・・とにかく、・・・おまえが、あんなのに取り込まれたら、おれが、・・・従者がいなくて、・・困る」
―― やっぱり・・・・スザクは、スザクだった。
頭を振り、笑う絵師は、それでも、嬉しそうに坊主をみあげるシュンカを見て、扉をそっと後ろ手にあけた。
「 スザクさま 」
「あん?」
「 よかった・・・」
「わあ!どうした?なんで泣く?ちょっとまて。おれが助かったのが、悲しいのか?それとも痛いのか?おい!テツ!どこ行くんだよ?なんだか、泣かしちまった!」
「あ~いいから。ぶっとばさないから、そこでおまえは困ってろ」
なんだよそりゃちょっと待て!と叫ぶのに、絵師は扉の向こうへ消えた。
残された坊主は、ベッドの上で、顔をおおい、声を殺して泣くシュンカをながめ考えた。
この子どもが、ここに来てから、夜中にこうして泣いていることは、坊主も知っていた。
ときどき、心配した絵師が、いっしょに寝てやっていることも。
――あれ?
今、なんだかどこかが、むっとした。
なんだ?子どもが泣くことか?
いや、それは、別に、・・・・。
「んん?・・おい、シュンカ」
「・・は、・・い・・」
「あのな、なんだかわかんねえが、今度から泣くときは、おれの部屋に来い」
「っつ、・・スザクさまの?・・」
「お前は、おれんとこで泣け。そうすれば、 ―― おかしなもんに同調もされねえだろうし、テツが・・・、―――・・・うんん?」
首をひねりだした坊主を、顔を赤くしたままのシュンカがうかがう。
ぱ、と眼があった。
焦るシュンカの顔を、ごつい手がひとなでして水を拭う。
「 ――よくわかんねえが、まあ、いいか」
このとき、扉のむこうに、たくさんの耳があったことは、言うまでもない。
――――――― 伍の宮を、毎夜のようにふるわせていた泣き声は
もう、聞こえない。
目をとめてくださった方、さいごまでおつきあいくださった方がいたら感謝です!ブクマなどつけてくださった方もいらして、うれしいです!
どれもゆるふわ設定でもうしわけないです。。。
ありがとうございました!




