黒森(くろもり)
「・・・セイテツさま・・」
「ん?」
「おろしていただけませんか?」
「だめえ」
「でも、おれ、これでも重くなってきてて」
「まあ、確かに、ちょっと大きくなったよなあ」
「ですから、セイテツさまが疲れます。それに、自分で歩けますし」
後ろを気にし、真っ赤になって慌てる様子がおもしろくかわいいので、ひどくからかいたくなってくる。
まあ、見かけはともかく、中身はもう十四になるのだ。
「恥ずかしいか?おれは楽しいけどなあ。シュンカは?」
わざと、そんな意地の悪い聞き方をすれば、子どもは赤い顔で、小さくうなずく。
「その、両方です・・・」
消え入りそうな答えに大笑いしながら、セイテツは森の中をずんずん歩く。
アシが姿を消して三人に減った一行は、次の日の夕刻には、黒森へついた。
なのに、その焼け跡も生々しい黒い森の中、歩けども探せども、黒鹿どころか、生き物にさえ会えず、こうして四日もたってしまった。
黒森の中は、昼間でもひどく暗かった。
そもそも、その呼び名は、黒鹿が住まうからではなく、黒い木が集まった場所だからだとセリに教えられたとおり、燃えずに残った生木が黒い。
そのうえ、枝に生えそろう葉までもが同じ色だ。