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『あの坊主』
つながった小さな手を、絵師はぎゅうと握りこむ。
「・・・ごめん・・シュンカ・・・たのむ・・」
「はい。かならず」
しっかりと眼を合わせ答えるシュンカからあふれた『気』にテングが羽をふるわせ、おかしな声をあげた。
のぞきこんだ坊主の顔を、シュンカの手がそうっと撫でると、とたんにものずごい勢いで手の光が増し、あたりにもその『気』が輝きあふれる。
シュンカは片手をスザクの肩へ、もう片手を胸へと当てた。
「 ―― おい、元神官、まさか、このこども・・・」
ヨクサが見開いた目をセイテツにむける。
「高山に、漏らすなよ。 ―― 特に、ギョウトクとかいう坊主には」
「ギョウトクか?・・・―― われも、あの坊主は嫌いだ」
本来なら、テングは人間にそんな感情を持つことはない。
ひどく顔をしかめた女に、理由は問えないまま、セイテツは、シュンカとスザクを見守った。




