たすけます
「っつ、シュンカ、落ち着け」
色をなくした男の肌の色をみて、シュンカが口をふさぎ、声にならない悲鳴のような、歪んで苦しい『気』をふきだした。
そばにいるセイテツまでが苦しくなる。
「ホムラは消えたので、術も消えたはずだ。だが、抜けた血の量はどうすることもできんな。 ――これは、たぶんもう・・・」
坊主をみおろしたテングは冷めた目を絵師によこした。
木の根元、目を閉じたままのスザクの顔は白く、眉間のしわもすでにない。
「す、ざく・・冗談だろ・・?」
膝をつき、男の頬を叩いた。
まだ、もちろん暖かいが、なんの反応も返らない。
こんなにあっけなく、―――。
「 だめです 」
ぐい、と手をどかされた絵師は、怒った顔のシュンカを見た。
目は、涙で濡れているけど。
「 セイテツさま、ヨクサさま、 ―― スザクさまは、ぜったいに、だいじょうぶです」
「 ――――シュンカ・・?おまえ・・・」
「おれが、ぜったい、スザクさまを、助けます」
「そ・・・、いや、でも、だって、親父殿と・・」
「約束、しました。 ――でも・・・・、」
「待て、シュンカ!ちょっと、別の方法を」
「考える時間などないぞ」
「テングは黙っとけ!」
怒鳴った絵師の手を、小さな手がとった。
「 ―― セイテツさま。おれ、・・・スザクさまを、たすけます」
「・・・っだ、だって・・」
「おれ、スザクさまが、大切です。 ・・・セイテツさまや、セリさまたち他の宮の大臣の方たちとは、また、別に、・・・そう思うんです」
「 ―――うん・・・わかってる、わかってるけど・・・・。ちくしょおっ・・」




